2011年5月26日木曜日

遠足の一場面 その2

歩き疲れた1年生をおんぶしてあげる6年生。
ほほえましい光景である。
と、肯定的にとらえるのが、教師以外の一般の方に多いのではないかと思う。(憶測)

この後、どうなったか。
一組このようにおんぶをするペアが出ると、次々に連鎖的に「おんぶして」コールが始まる。
自分もヘロヘロなくせに、無理におんぶしてふらつく6年生。
おんぶしてあげたくても元々その体力がない6年生は、わがままな文句を言われる。
隊列を組んで歩いているのに、止まったり遅くなったりして、列がバラバラになる。
結果、歩道を広がって歩き、列が間延びして横断に支障が出るといった、安全面でも問題な事態となった。

私は、簡単に次のように指導した。
(6年生に)「歩かせて。遠足は歩き抜く体力をつけることも目的だよ。」
(1年生に)「ケガをしてるの?違うよね?自分の足で歩けるなら、歩こう。」
疲れて歩けないとぐずぐず言っていた1年生は、前の自分の位置までかけ足で戻っていった。
余裕の体力である。
そもそも、多くの幼稚園の年長組は、もっと歩かされているのである。
他の子ども達も、ほどなく自分の足で歩きはじめた。

教室に帰ってからは、次のような話をした。
「1年生が言うこときかなかったりわがまま言ったり、ルール破りをして困った人?(多くが手を挙げる)
それを注意した人?(半分以下に減る)
どうして注意できなかったのだろう?
ペアに嫌われるとか思う人もいるかもしれない。
でも、悪いことを悪いときちんと教えてあげるのも、優しさだよ。
おんぶしてあげる優しさもあるけど、歩かせるのも、優しさだよ。」
6年生になれば、模範を示すことが一つの役割になる。
地位が上がれば責任が伴うのだから、言いにくいことも言わねばならない。
そういう体験を通す中で、教師の厳しい注意にも納得のいく心が育つのではないかと思う。

優しいことは大切である。
グラウンドで転んで泣いている1年生を、優しく保健室につれていってあげる上級生。
文句なしに誉めてやっていい。
その場合も優しく「大丈夫?」と抱き起こしいたわるのが母性の優しさ。
「大丈夫。立てるよ。」と声をかけ、励ますのが父性の優しさ。
どちらも、大切な要素だ。
優しさも、時と場合と相手に応じてケースバイケースである。

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