第29回被災地に学ぶ会のレポート。
今回も、向かった先は南相馬。
街自体は少しずつ復興に向けての動きが進んできているようである。
しかし、ボランティアセンターの方の話では
「復興したからもう大丈夫、というメディアの情報の誤解が一番困る」とのこと。
復興に向けての動きが進んでいるといっても、決して復興した訳ではない。
今回の支援先である小高区では、未だに震災前の人口の6分の1しかいない。
1万2千人中、1万人は帰ってきていないのである。
やっと帰る人たちが出てきたからこそ、以前よりもさらに人手不足になっている。
今後も、ボランティアの参加は大歓迎である。
さて、今回の支援先も、個人宅。
かなりの敷地に、草木がびっしりである。
しかも、斜面やら水路やらで囲まれており、草刈りにはなかなか手強い形をしている。
今回は、依頼主の方が所用により不在の状態での作業である。
作業に取りかかる前に、リーダーの村田先生に尋ねてみた。
「この敷地は、今後何に使うつもりなんでしょうね。」
私としては、用途がわかった方がどこまでやるといいかがわかるし、やり甲斐も出るだろうと思った訳である。
村田先生は、全体の前で次のように話された。
「依頼主の方は、きっと途方に暮れていることと思います。
どこから手を付けたらいいかわからない状態です。
この敷地をきれいにすることで、依頼主の方は、希望がもてるのではないでしょうか。」
さすがリーダーである。
リーダーとは、集団に指針を示す人のこと。
この言葉で、一気に「がんばろう」という気持ちが芽生えた。
作業中も常に考えることは
「ここの見晴らしがよくなったら、気持ちがいいだろうな」
「ここが通れるようになったら、喜んでくれるのではないか」
というようなことばかりである。
しかし、がんばってはいるが、実際、暑い。
暑さにやられて水分補給をしながら周りの仲間を見ると、それぞれが熱心に作業に取り組む姿が見えた。
手作業で細かいところまで丁寧に刈り取っている人。
汗だくになって草刈り機を操るベテランの方。
仲間と声をかけあいながら、楽しんで協働している学生グループ。
どの人も、いきいきしているように見えた。
そう、この会の名前は
「被災地に学ぶ会」。
学ぶことは、喜びであり、楽しみである。
依頼主の方の喜ぶ姿を想像しながら作業しているに違いないと思った。
午前中から昼食をはさみ、4クールを経て無事作業終了。
ビフォアーアフターよろしく、すっきりとした敷地を眺め、全員で記念撮影をした。
今回の作業も、復興に向けた小さな一歩でしかない。
しかし、小さな事を成し遂げずに、大きな事を成し遂げることはできない。
どんな大きな数でも、すべては1から成り立つ。
これからも、小さな1を積み重ねていきたい。
2017年10月4日水曜日
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