2012年2月26日日曜日

自力で解かない方がよい時

誰にも頼らず、自力で何とか解こうとしている子ども。
算数の授業研なら、「好ましい」とされる姿である。

しかし、私はこの姿に否定的な立場である。
「解けないものは解けない」と思っている。
「ない袖は振れない」という言葉もある。
漢字テストだとわかりやすいのだが、「頭の中にない字は書けない」のである。
算数なら「頭の中にない解き方は100年考えてもでない」のである。
アイデアが突然天から降ってくるものだと思っている人もいるが、それは違う。
たくさんの知識の寄せ集めが、新しいアイデアを生む。
算数の場合なぞもっと単純で、解法をいくつ記憶しているかどうかである。
だから、そもそも解法を記憶していない子どもに考えさせても、無駄である。

さて、冒頭は前号の「友達にきいてよいテスト」の一部の子どもの姿である。
放っておくと、このままできないで終わる。
困ったことに、普段算数を苦手としている子どもほど、なぜかきけない。
「プライド」が高いのである。
「今できない自分」を認められないのかもしれない。
だから誰にもきけずに自分で考え、できないスパイラルにはまっている。
弱いから、自分を頑なで意地っ張りにして、守っている。
こういう場合は、助けてあげた方がよい。
このまま大きくなって社会に出ると、本人にも周りにも不利益が生ずる。

算数が比較的得意な、気の良い子どもを一人つかまえてこっそり声をかける。
「○○君、困ってるみたいだよ。」
あ、という顔をして、そろそろと近づく。
しかし、声をかけにくい。

顔が、暗いのである。
むしろ、むっとしている。
「僕は私は、誰の助けもいらないんだから」という顔をしている。
だから、みんな声をかけない。

しかし勇気を出して気の良い子どもが声をかけると、ふわっと表情が和らぐ。
本当は、ききたいのである。
熱心に教え、やがて解き終わった。

さあ答え合わせ。
全員満点、のはずであるが・・・。

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