2021年9月7日火曜日

SDGsと学校教育の価値観の転換

 夏の間に立て続けにセミナー出席していたので、その気付きのシェア。


こちらが学びに参加したのは全て民間の教育研修会であるが、共通して気付いたことがある。

それは「今までの教育のやり方ではもう立ち行かない」という点である。


・・・いや、そんなのずっと何十年も前からわかっていると思う人が大半だろう。

そうではなくて、本当にもうこのままだとまずいのである。

価値観の変化というより、180度ぐらい転換しないと対応できないと感じた。

いや、それすらもぬるい。

もう、世界のスタンダードは、異次元である。


例えば、以前にも何度か書いたが、ジェンダー平等について。

これは特に上の方の世代の方々には受け入れ難いのかもしれない。

「男女七歳にして席を同じうせず」と幼少期から教わった時代である。

「男らしく」「女らしく」という言葉は肯定的な意味しかなかった。


今は違う。

使う場面によっては、人権侵害となる。

この言葉自体の意味云々ではなく、性の概念が世界で変化したためである。


上の世代に伝えるとしたら、戦時中から戦後の教育の変化である。

白かったものが突然真っ黒に塗りつぶされたというあれである。

この場合は、周りの都合により急激かつ強制的に変化した訳だが、要は世界の価値観が変化したのである。


国連で採択されたSDGsに掲げられた17の目標がある。

その内の「目標4 質の高い教育をみんなに」と深く関連すると言われているのが

「目標1 貧困をなくそう」と「目標5 ジェンダー平等を実現しよう」の二つである。


ジェンダー平等は世界レベルで採択されている重点目標であり、国内の旧い価値観の論では通用しない。

教育とジェンダー平等は直結しており、学校で普段どのような教育をしているかはかなり重要な位置を占める。

「1年生入学時の机の引き出しの色が男女別だった」という話に「そんな時代が本当にあったの!?」となる日も近いかもしれない。


一方で、いつまでも無意識にそういったことを学校で繰り返していることが、日本になかなか浸透しない一因である。

トイレもジェンダーレスの多目的トイレを設置している学校がスタンダードになる必要がある。

無意識、つまり学校にとって当たり前になっていることを問い直す必要がある。


教育と貧困も直結していて、教育を受けていないがゆえの貧困という面と、その逆もある。

学校のあらゆる仕組みの中に、経済格差や家庭格差の状況が浮き彫りになるような無配慮がないかも、見直す必要がある。

例えば一部の地方自治体で既に実施されている「給食費無料」などの制度は、今後当たり前にしていく必要があると思う。


学校の教育の今までの価値観は、刷新していく必要がある。

これはかなり辛い作業である。

真面目に教育のことを考えて実践してきた人ほど、辛い作業になる。


例えば「先生の言うことをよくきくいい子」が、社会で全く使いものにならないという評価を受けているという事実。

ここを直視する必要がある。

言うことをよくきける人ではなく、自分の頭で考えて行動できる人こそ求められている時代である。

旧来の「いい子」は、ロボットが全て代用してくれるからである。


そうなると、やたら反抗的なあの子、自分の思い通りにならないあの子をこそ、見直す必要が出てくる。

自分自身があまり周りに合わせるタイプではないなら、ここは対して苦労しない。

自分の思い通りになる子どもなんていないし、それぞれにみんな価値があるという価値観に転換していく。

今までも「みんなちがってみんないい」という言葉自体は広まっていたが、実際は同質性を求めていたというのが現実の教室だろう。


この価値観の転換こそが最大の壁である。

「そうはいっても」となる。

理想と現実が伴わないからである。


変えないと変わらない。

北海道の下町で宇宙開発事業をしている、植松電機の植松努社長がこの世からなくしたい言葉が

「無理」

だという。

夢を語っても無理、現実を変えるのは無理という大人に育てられた子どもが、将来への希望と意欲を失っていくのは自明である。


無理なことはない。

社会の変化は学校教育が全てのスタートである。

もういい加減、旧い価値観を捨てて、学校から、教室から変えていく時である。


どこから手を付けるかは、自分次第である。

少なくとも「ではどうしたらいいか」と常に他に正解を求めている以上、子どもは同じように育つ。

「これだ!」と自分が思うことを、小さなことからでいいから、実行してみる以外にない。


外に学びに出るのは、モチベーションを高めるためだと誰かが言っていた。

全くその通りで、後は動くか動かないかである。

せっかくの学びを、モチベーションだけで終わらせず、実行に移していきたい。

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