夏休みということで、本の紹介。
最近、また小説を少しずつ読むようになってきた。
機会あって、次の本を読んだ。
『日の名残り』カズオイシグロ著 土屋政雄訳 ハヤカワepi書房
https://www.amazon.co.jp/dp/4151200037
イギリスのお屋敷で働く執事の物語である。
読もうと思う人もいるかもしれないので、ネタバレしない程度に感じたことを書く。
引っかかったのが、忠誠を誓うということは、本当に正しいのかということである。
妄信的に主人に従う執事。
一見、忠実でいい執事であるようだが、主人の過ちと思われる点を見つけても、指摘できない。
むしろ、それが正しいことであるかのように錯覚してしまう。
忠実であることが正しいという強い信念を持っているので、それ自体を疑わない。
これは、働き方の話につながる。
会社への忠誠心。
あった方がいい仕事をする。
しかし、それ故に、会社が明らかな過ちを犯しているのに、指摘できなくなる。
これはまずい。
更に、ルールに忠実であることが、人間味を失うことにもつながる。
判断基準に感情を入れないために、人間の心の機微を無視した言動になる。
これは意見が分かれるところだが
「親の死に目」という場面で、仕事を優先するかどうかという問題にも関わる。
ビジネスマンとしては仕事優先でいい。
しかし仕事が果たして自分の人生に寄り添ってくれるのかどうかである。
人がいい、ということに関しても考えるところがあった。
うまい人間に利用されていることに気付けないと、人がいいほど、好都合な対象になる。
教師として立つ時にも、ここは考えどころである。
気の利く子どもに負担をかけすぎていないか。
また、忠実を求めてしまっていないか。
正しさを押し付けてしまっていないか。
自問すべき点である。
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