2021年7月11日日曜日

無理・無駄・余計を捨てる

前号「セルフネグレクトの連鎖を止める」の話の続き。


自分自身を大切にすることが、仕事全般の向上につながる。

拙著『「捨てる」仕事術』にも書いたが、余計な仕事を捨てることが大切である。


100ある力を、余計な90に配分してしまえば、大切なことに配分できるのが10しか残らない。

小学校レベルの単純な算数でわかる話である。


学級担任に対し「取るに足らない、ほんの些細な仕事」が次々に追加依頼される。

今は感染症対策とICT関連の仕事が大量に追加されている。

子どもの端末の管理、新たな媒体やソフトの活用、発信の要望まで、枚挙に暇がない。

追加された仕事は、今後消えることはない。

感染症対策の仕事も、もはや一時的とはいえないほど継続している。


たとえ1の労力の作業であっても、それが10個あれば相当な労力になる。

今の学校現場は、それが労力全体の半分を優に越えており、最も大切な授業や学級経営の準備に費やせなくなっている。


当たり前だが、余計な仕事に費やす労力を削減すれば、自ずと大切なことに力を注げることになる。

結果的に、子どものよりよい成長につながる。


そして仕事を断れない立場にある以上、やり方が大切になる。


例えば5の労力をかければ8割出来の結果が得られるものがあるとする。

その仕事を10割出来にするには10の労力が必要というものもある。

これは、8割でも構わない程度の仕事なら、倍の労力を費やさず、そこで終えるべきである。


「余計な仕事なんてない」という論もあるようだが、残念ながら学校には本当は要らない余計な仕事が山積している。

過剰サービスともいえるようなものも多い。


また一見大切なようで、実は大切ではないものもかなりある。

見極めは単純化して「子どもの真の成長につながるかどうか」という一点で判断するとわかりやすい。

学校の存在理由は、子どもの保護と成長だからである。


各種書類。

法的に必要だと主張される類のものは、本質的には要らなくても、要らないと言える反論の余地がない。

法的に必要ではなくても、準公簿だ必要なんだと何だかんだ理由をつけて「やらねばならない」ものもたくさんある。

命令を出す側は必要だからと出すのだが、出される側は必要感が全く感じられないものも多い。

「べき」と「ねば」にまみれた「べきねば仕事」である。


これらは、子どもの成長という視点からは、大部分が要らない。

「いざという時に」とよく言うが、本当にいざという時は平時と違うので大概役に立たない。


しかし文句を言っても捨てるわけにはいかず、やらねばならないので、能率よくこなす必要が出る。

探せば、するするいくうまいやり方は書籍などに溢れているはずである。


例えば、〇つけの類。

これを言うと必ず反論が出るが、この仕事は教える側にとって、本質的には要らない。

指導者の立場からすると、理解度の確認さえできればいいのである。


子ども自身ができるなら、子どもがやった方が学力向上のためにもいい。

まして統一テストや学力検査のような選択肢の〇つけなぞ、機械にやらせるのがベストである。

〇つけボランティアが入ってくれる学校もあるぐらいである。

他者に委託しても全く構わない仕事である。


通知表の各種所見。

これは長くなるので次回にするが、ムダの極みである。


上からのこういったムダの命令と強要の山積が、学校が荒れる本質的な大きな要因になっている。

教師の仕事が変なところでしんどくなり、それによって憧れる若者も減り、教育の質の低下という悪循環に陥る。


今は、感染症対策のために様々な作業が追加されている。

世界レベルの問題であり、これを拒否できるはずがない。

ここはやるしかない。

だとしたら、今までの他の「べきねば」を捨てる発想にいかないと、犠牲になるのは授業であり、最終的には子どもである。


全ての現場教員が真っ先に一番捨てるべきは、完璧主義である。

冷静に俯瞰して、今の教員に求められる仕事量は、まともにやりきれる量ではない。

できない自分を責めていたら、あっという間に肉体的にも精神的にも追い込まれることになる。


また、同僚に対しても、互いに完璧を求めないことが大切である。

こんなのできる訳ないだろうと、お互いにちょっとスルーする余裕も大切である。

(これを言うと、また完璧主義の人に怒られるが、それもスルーしておく。)


子どもや保護者との関係でもそうありたい。

完璧にできる子ども。

完璧な子育てをする親。

完璧な教育をする教員。

どれも、互いに無理な話である。


無理・無駄・余計を捨てること。

子どもの成長を大切に願っているのに、自分が仕事をできていないと悩むのであれば、見直すべき視点である。

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