聴く力をつけるという話の続き。
今回のテーマは「子ども同士の聴く力をつける」。
子ども同士をつなぐ、という意味でも、大変重要なテーマだと思う。
具体的な方法や実践は、今日的なテーマなので、附属小学校等はじめ、たくさんある。
実際に自分がやってきて、実感として効果があると思うものを一つ紹介する。
よくやるのが「班内シェア」。
原田隆史先生の教師塾で、自分が生徒として体験して、すごくいいと思って取り入れた。
ある事柄について、自分の意見を言わせる。
ただし、ノートに書く→隣同士→班→全体発表とつなぐ。
ノートに書くという行為は、いわば個人内発表(自分の考えの具体的発露)である。
テーマとしてきちんと考えさせたい場合にだけ書かせる。
全体発表は、ハードルが高く、時間もかかるので、必要ない場合はやらない。
かわりに、隣同士や少人数グループでの発表経験をなるべく数多く踏む。
もう、5分から10分に1回ぐらいの頻度で、短く何度もやる。
教師側のフレーズはシンプルに「はい、これについて班内シェア」だけでいい。
「『話す』じゃなくて『聴く』がテーマじゃないの?」と思った方もいるかもしれない。
「話す」と「聴く」は、セットである。(そして、聴く方が重要。)
自分も話す機会があるからこそ、相手の話も聴こうという気になる面がある。
講義などでも、質問しようと思っていると、聴ける情報量が大幅に増える。
テストがあるからこそ、一生懸命聴くという面がある。
よりよく聴くためには、力試しというか、自己表現というか、アウトプットの場面を想定するのが有効である。
話す前提を持って聴く、という姿勢をここで作る。
自分の話を聴いてもらうには、自分も一生懸命人の話を聴く必要があると学べる。
また、聴いてもらうことで、逆に聴き方も学べる。
どういう聴き方をされると嬉しいか、または嫌かということがわかる。
自分が話すことで、話し方以上に聴き方が学べる。
4人での班内発表であれば、1回の話す機会に3回の聴く機会ができる。
話す力もさることながら、聴く力がつき、子ども同士のつながりも深まる。
そもそも「良い聴き手が良い話し手を作る」のであるから、話す力も聴く力にかかっていると言ってよい。
また、「フリートーク」もおすすめである。
帰りの会や学級会などで設定する。
「3分間」など時間を決めて、近くの人とテーマについて自由に意見交換する。
言うなれば、公的なおしゃべりタイムである。
普通の休み時間のおしゃべりと違う点は、気の合う仲間同士に限定されないこと。
人間関係作りと自己開示が主たる目的なので、テーマはくだらないことでもいい。
「最近感動したこと」といったものから「好きなアニメ」でも何でもいい。
ルールはただ一つ、肯定的に聴き、否定しないこと。
「それ、面白いね!」「いいね!」などと敢えて反応フレーズを固定しておくのも、慣れない内は有効である。
子ども同士をつなげる「聴く力」は、自由な風土のクラス作りにも必須である。
2013年5月11日土曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
-
名称の謎の話。 小学校で行う跳び箱の切り返し系の技といえば、開脚跳びとかかえ込み跳び。 かかえ込み跳びは「閉脚跳び」とも呼ばれる。 名称が二つあるのは、学習指導要領での表記の変遷による。 以下、体育の豆知識。(興味ない方は読み飛ばしていただきたい。) かかえ込み跳び...
-
前号の続き。 教師にとっては、結構知っておくべき「大切」な事ではないかと思う。 (そして、教師以外の人々には本当にどーでもいい話題であるかもしれない。) 例の如く野口芳宏先生よりずばり。 「課題」は出されたもの。 「問題」は感じたもの。 つまり、教師から与えたものが「学習課題」。...
-
教材研究という言葉が一般的である。 教えるために、教師として教材を読むのが教材研究である。 (まるで私がわかった風な口をきいているが、完全に野口芳宏先生の受け売りである。 以下同様。) 教材研究の前にすべきは、素材研究。 教えるためでなく、一読者として作品について調べ、読み込む...
0 件のコメント:
コメントを投稿