特別支援の先生の話や本を読む機会が続いたので、そこからの気付き。
特別支援学校や特別支援学級には、自分に嘘をつかない子どもたちが多いという。
つまり、思っていることを直接口に出し、行動に移す。
これはもちろん「通常学級」に在籍する子どもの中にもよく見られる傾向である。
(この「通常学級」は「特別支援学級」と区別するために止む無く使用するが、何が「通常」なのかは疑問が残るところである。)
こういった子どもの言動を教える側が面白がれるかどうかがポイント、という話だった。
加えて、特にこういった子どもたちにとっては、ルールがないと安全・安心が担保できないという。
単に「走りたいから走る」では、いつ事故に遭うか気が気でない。
信号を守ることは交通ルールの基本である。
言葉についても同様である。
こういった子どもたちが社会で生きていく上では、次の3つが言えることが大切だという。
「ありがとう」「ごめんなさい」「手伝って」
加えて講師の先生からは「一緒にやろう」の言葉があるといいとのことだった。
この「自分に嘘をつかない子ども」に関連して、ある本で素敵なエピソードを見つけた。
次の本からである。
『1/4 の奇跡 (「強者」を救う「弱者」の話) 』
山元加津子 著(2010)マキノ出版ムック
https://www.amazon.co.jp/dp/4837661718
著者の山本加津子さんは、特別支援学校の先生である。
この中に「しんちゃんのこと」という話がある。
しんちゃんは、全ての人の言葉に必ず返事をしてくれる子ども。
それが誰かの独り言であってもしっかり反応してくれる。
だから、独り言の癖のある担任の先生とのやりとりは、傍から見ていて大変愉快だったという。
大きくなってスーパーで買い物をしていても、万事その調子。
店員さんが「毎度ありがとうございます」
と言えば
「毎度は来ていません。
いつも来ることができればいいのですが」
とすかさず返す。
「ニラ、138円」
と言えば
「ニラは138円でございます。間違いありません」
「ひき肉、238円」
と言えば
「ひき肉は、238円でございます。餃子に使いますよ」
と返す。
相手はもちろん困惑するだろうが、この「しんちゃん」は、誠実に返しているだけである。
人の話を全然聞いていないで返事もしないという人とは、真逆の位置にいる。
要するに、人を大切にしているのである。
だから、ないがしろにできず、必ず相手に思いを伝える。
生きづらさはあるだろうが、これはなかなかできない素晴らしいことだと思う。
このエピソードも続きがあり、感動の結末があるのだが、ここでは書かない。
ぜひ購入して、一人部屋で読まれることをおすすめする。
(電車や公共の場で読むと、困るかもしれない。)
私が2020年度に読んだ本の中で一番心に響いたものである。
自分に嘘をつかない子ども。
大人こそ、学ぶべき点ある子どもたちである。
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