2018年3月14日水曜日

「もっと眠らなくちゃ」

睡眠の大切さは、もうかなり広く世に認識されている。
Googleをはじめとした世界の超一流企業が昼寝を推奨しているのも有名である。

ここについて、
ケリー・マクゴ二ガル著 神崎朗子訳『スタンフォードの自分を変える教室』大和書房 より引用する。
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(引用開始)
そんなとき、たいていの人は
「もっとしっかりしなくちゃ」と思うばかりで、
「もっと眠らなくちゃ」と思う人はほどんどいません。
(引用終了 ただし原文には改行はなし)
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なぜまた誘惑に負けてだらだらしてしまったのか。
なぜやるべきことをやれなかったのか。
なぜ意志力を働かせてやれなかったのか。
よし、もっとがんばらなくちゃ。
そういう考えがよぎる時への、警告としての一文である。

これは、悪循環スパイラルである。
もともと、体調が万全でないのが、意志力が働かない原因かもしれないのである。
そのまま頑なに「頑張って」いるから、うまくいっていないのかもしれない。
やり方自体が悪いのである。

単に怠けてだらだらしているだけの人なら、多分悩んではいないし、そもそもこれを読んでいないと思うので除外する。
恐らく悩んでいるのは、毎日必死に一生懸命やっているのに、残業がなくならない人たちである。

そんな方に、一つ質問。
「きちんと眠っていますか。」

毎日6時間以上、できれば8時間ぐらいが理想であるという。
個人差はあると思うが、要は毎日元気で頭がすっきりするまで眠れているかどうかである。

バリバリ仕事をしてものすごい成果をあげる人の中には、眠らないで大丈夫な人もいる。
歴史に名を残すぐらいの成果を出す天才には、ショートスリーパーも多いという。
ただしそれは、才能の一部である。
前にも述べたが、多くの人が目指すべきはそこではない。

拙著『「捨てる」仕事術』にも書いたが、人生において何を得たいかである。
https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-171335-5
仕事は人生の重要な一部として長期的に取り組むものであり、人生全般に影響する睡眠時間を削ってはいけない。
目の前の仕事をがんばる前に、一生懸命、眠る時間を確保する工夫が大切なのである。
それが仕事術であり、結果的に仕事で望む成果につながる。

考えてみて欲しい。
職場において、最も体力があって、長時間「頑張れる」のは誰か。
若い人である。
なぜか。
健康で体力があるから、である。
つまり、加齢と共に、この期間限定の能力は衰えていく。

毎日残業続きで、眠たい目をこすりながら「がんばっている若い人」は、報われるか。
答えは「No」である。
文句も言わずに無休の無給でいくらでも働いてくれるので、「便利」ではある。
そこで思う存分使われ、搾取される。
学校は異動も多いため、散々な扱いをしても、やがて「はい、さよなら」である。

従来型の縦社会ではその頑張り方でも報われたかもしれないが、今の時代の社会に適した働き方とはいえない。
(教員社会の変化は一般社会より大分遅れるので、もうしばらく従来型縦社会が続くかもしれないが。)
少なくとも、子どもにとっての理想的な社会人ロールモデルとはならない。
最悪の場合、「先生にだけはなりたくないなぁ」と思わせるかもしれない。

厄介な副作用として、「がんばってる自分に酔う」という場合も出る。
まだ若いのに、職場で妙にえらぶってしまう。
(その職場にいる期間が長い人ほど陥りやすいので注意。)
自分は人よりこの職場で「苦労」して「奉仕」しているのだから、当然という態度である。

そういう勘違いをしてしまうのも、がんばりすぎの副作用である。
自分とみんなのためには、さっさと帰ればいいのである。
またリーダーが「頑張り」すぎるのは、最も悪い。
これが時間外の会議や突然の打合せなどを引き起こす。
多くの若手の悩みの根本的な原因である。
(事前にふっておけばやれるのに、突然降ってわいたように思い出して時間外に今すぐやれというのは、マナー違反以前に法令違反である。)

話がややそれた。
少なくとも自分がきちんと休んで眠れている以上、絶望感も他者を責める気持ちも生まれない。
疲れが不安感や絶望感、やがては病気や対人関係恐怖を引き起こすのである。
何はともあれ、眠ることである。

しかし眠る時間が確保できない、仕事が終わらないという。
コツは、仕事の時間設定。
繰り返しになるが、パーキンソンの法則の第1法則は
「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」
である。

ガンバリズムが常識化して染み付いてしまっていると思う人は、仕事の仕方を根本的に見直してみる必要があるかもしれない。

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