2015年2月15日日曜日

知足と離職率

今回は教育から離れて社会への雑感。

最近、また松下幸之助氏の本をよく読む。
松下氏の著書によく「知足」という言葉が紹介されている。
その出典は、老子(第33章)「足るを知る者は富む」である。
満足を知ること。
これがないと、あれこれ目移りして、どれにも不満が出る。

最近の若者は、就職しても長続きしないという。
データとして見ると、確かに「3年以内の離職率」は年々どんどん上がっている。
「根性がなくなった」という見方もあるが「選択肢が多くなった」という見方もできる。
選択肢が多いということは、迷いや悩みが生じるということでもある。
極端な話、江戸時代のように「親が商人だから自分も商人」というようであれば、迷いようもない。
どちらが幸せなのかは、観による。

ただ、身内を庇う訳ではないが、教員の新採の場合を考えると、必ずしも原因はこれに当てはまらないように思う。
教員への法的なルールや社会からの要望は年々厳しくなり、そのストレスによる離職の多さは無視できない。
特に、保護者対応の難しさはその最たるものだと思う。
(若くて経験がないのに、ベテランと同じ完璧な対応を求めるのは酷である。
 そういう時に、そこを庇うのが素晴らしい管理職だと思う。
 そういうピンチの時の対応に、本物の「偉大さ」や「尊敬」を感じる。)
迷いもなくなりたい一心で就いた教師という仕事は、予想以上に大変なはずである。

客商売の職業の新採の方々も、恐らく同じ境遇ではないかと推測される。
どの商売も、サービスが向上しすぎて、「御客様」の要望がとにかく高い。
(海外の庶民向け客商売サービスと比較すれば、一目瞭然である。)
若者たちの能力だけに原因を求めるのは、いかがなものかというのが私見である。

そして、この社会を作る人間を育てたのは、学校教育であることを絶対に忘れてはいけない。
少なくとも教師を10年以上やっているなら、確実に責任がある。
もしクレームが多い地域なら、そういう人をその地域の学校が育てたのである。
(その点で、外から移住してくる人が多い地域は、学校への愛着がなく、大変なことが多いようである。)

話を「知足」に戻すが、ちなみに松下幸之助氏も、「最近の若者は続かない」と嘆いている。
昭和30年代にである。
つまり、ずっと言われ続けていて、これからもそうである。
仕事の選択肢が増え続ける以上、この傾向は止まらないだろう。

それでも、知足。
どこかで割り切る必要がある。
少なくとも、働ける現状があるなら、そこに知足を見出したい。

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