「まず、根本、本質、原点を問う。」
師の野口芳宏先生の言である。
今ある常識にとらわれず、かつその常識が現存する妥当性を検討する。
自分の好みで何でもかんでも反対すればいいという単純なものではない。
時を経てなお残る風習・習慣というのには、何かしらの理由がある。
それを踏まえた上で、常識を問い、アップデートしようという姿勢が必要である。
そんな思いを込めて、新たに一冊の本を書いた。
目次を羅列する。
ここを読むだけでも、教育観を磨くことにつながるはずである。
一、「楽しい授業」をやめる
──親切・丁寧・サービス満点をやめて、学力向上
1 サービス満点の「楽しい授業」を捨てる
2 やってる感で○つけをしない
3 不親切こそ学力を向上させる
4 寄り添い過ぎれば「つきまとい」
5 学習を我慢させない
6 「漢字が書けないと将来困る」のウソ
7 読めない漢字もばんばん板書
8 「○○ができない」で困るのは誰か
9 「できる」以外の目標を
二、習字の掲示をやめる
──教室環境をこねくりまわさない
10 教師が作る美しく整った教室掲示
11 同じ字を並べて掲示する意味は?
12 「私の選んだ字」で個の掲示
14 個人別クリアファイル掲示物
15 教室のモノの配置
16 教室に「子どもだけの空間」を
三、「してあげる」をしない
──担任がすべてを請け負わない
17 名前シール貼りの親切
18 「主体性をもたせる」?
19 「休み時間を削って授業」は権利侵害
20 あえて一緒に遊ばない
21 休み時間は「みんな」で「ドッジボール」
22 「一人ぼっち」の子ども
23 百点満点をほめるより
24 勉強しなさいと言う代わりに
四、「揃える」をやめる
──時代おくれの根性論排除
25 真夏も真冬も体操服は同じ
26 体操服指定縛り
27 「標準服」の合理的配慮
28 「揃えない」ことで自由になれる
五、「きちんと座りましょう」のナンセンス
──個性や発達の違いを理解する
29 「座りなさい」より「歩いてもいいんだよ」
30 「乱暴な子」と言われてしまう子ども
31 発言できなくても構わない
32 「喋らない子」はよく聞いてくれる子
33 「背の順」は身体的特徴による差別の誇示
34 髪型・服装指導問題 その1
35 髪型・服装指導問題 その2
36 左利き用文房具
37 給食は「完食」が目的じゃない
38 「苦手なもの」はあっていい
六、かわいい子には……
──「危ないからやらせない」が将来一番危ない
39 子どもの危険対処能力
40 学校は「安全第一」
41 鬼ごっこは「自己責任」
42 子ども同士のけんか
43 破る者がいる前提のルール
七、子どもの家庭を覗かない
──それこそ余計なお世話であると知る
44 家庭にも不親切教育をすすめよう
45 親切な教師は、毎日宿題を出す
46 宿題を出すのならば
47 「母の日」「父の日」はスルー
48 「早寝早起き朝ごはん」ができない家庭
49 感謝の手紙を「書かされる」違和感
目次を読んでみて、もし「ん?」と思う引っかかりがあったら、そこを読むべしというサインである。
引っかかりがあるということは、自分の中の常識を揺るがされているということに他ならない。
あるいは、立場上、本当はそうしたいのにできていないという現状があるはずである。
これまで、ずっと伝えねばと思ってきたことを書いた、入魂の作である。
教育の現状、ある程度の経験年数と場数、かつ自分の立場とのバランス等考慮し、世に出す最高のタイミングだったと思う。
(経験や立場が上になりすぎると、ある面で表現の自由が縛られる。)
公立校から少し離れていた立場の、あのタイミングでなければ、これほど赤裸々には書くのはためらったかもしれない。
言いたいことを言うのではなく、言うべきことを言う。
書きたいことを書くのではなく、書くべきことを書く。
書いていて時に身がすくむ思いもしたが、「書かずばやまじ」の思いで書き上げた。
是非とも手に取って読んでいただきたい、入魂の一作である。
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