Hondaの創業者本田宗一郎氏の話の中で
「車が提灯のように潰れることで中の人間を守る」
という話がある。
(『本田宗一郎「一日一話」 “独創”に賭ける男の哲学』PHP文庫
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=4-569-56402-X)
外側を頑丈に作ってある外国車との比較としての、自社の車の安全設計についての話である。
「潰れることで衝撃を吸収する」という柔軟性や吸収力が大切ということである。
今では技術が大幅に進歩し、エアバッグ他がこの役割を果たしてくれている。
潰れて衝撃を吸収するという発想はとても大切である。
そうでないと、中の人間にダメージが直接全ていってしまう。
今、不登校の数が過去最大ということで、問題になっている。
不登校は、学校としては悩ましい問題である。
これは、学校という公のものさしで測った時に、大きな問題なのである。
一方で、子どもの視点からすると、不登校は大切な選択手段でもある。
登校したくない原因(あるいは家にいたい理由)があって、それを選択している。
より大きなダメージを軽減するための選択とも考えられる。
これは、個人のものさしで見て、自分なりの選択をしているともいえる。
無理矢理連れ出すこともできる。
しかしそれは、個人のものさしを無視した行為である。
過去にも書いたが、不登校自体に人生としての善悪はない。
それが必要な選択ということがある。
社会人だったら、自分の心身を守るために、会社を休むことがあり得る。
会社を優先して本人が壊れてしまっては、元も子もない。
転職や退職が最善の選択肢ということもある。
その会社のために生きるよりも、自分の人生としてやり直せることの方がよほど大切である。
潰れる柔軟性と吸収力は、子ども時代から必要である。
一旦外側が潰れても、中の本体が無事であることが大切である。
人間でいうならば、何よりも大切なのは、生きる気力の方である。
吸収力や柔軟性をもって、しなやかに生きられる方を目指したい。
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