建国記念の日である。
第二次世界大戦後に旧紀元節が廃止された後、1966年に復活し、翌年より実施された祝日である。
6年生担任の場合に限らず、必ず子どもたちへする問いかけがある。
「世界で最も長く続いている国はどこでしょう」
これは師の野口芳宏先生の実践の追試である。
これを聞いて適当に予想を聞く。
有田和正先生の有名な言葉「予想はうそよ」であり、完全な当てずっぽうでよい。
「1位はどこで2位はどこで、それぞれどれぐらいだと思う?」とも予想しておく。
大体中国とかイギリスあたりがあがる。
中国は「4000年の歴史」という言葉があるし、イギリスは王が統治しているイメージがあるからだろう。
アメリカという意見も毎年出る。
世界史については未習で、アメリカ合衆国の建国が比較的新しい1776年ということは全く知らないだろうから当然である。
長く本メルマガの読者の方なら耳タコというぐらい書いた話だが、ずばり答えは日本である。
今日で皇紀2683年である。
西暦より660年長い、と認識しておくとすぐに出てくる。
その長さについては諸説あるものの、2位以下の国に比べても断トツに長く、世界最古の王室という点はギネスブックも認定の事実である。
参考:図録世界の王室 何でも長さランキング(本川 裕 「社会実情データ図録」サイト内より引用)
なぜ他国の王室が続かないかというと、王が途中で殺されてしまったり国自体が侵略により滅んでしまうためである。
地政学の視点から言って、地形というのは国が栄えるにあたり最も重要な要素である。
侵略されやすい地続きの国々と違って、四方を海に囲まれた日本とイギリスの王家が長く存続していることは偶然ではない。
その点、第二次世界大戦は本当に存続の危機だったといえる。
天皇がGHQにより処罰されて皇室の制度が禁止されれば、その時点で歴史に終止符が打たれたかもしれない、という事態である。
日本を占領しているGHQにとっては、天皇ほど邪魔な存在はなかったはずである。
これがなぜそうならなかったかという背景も、是非子どもたちに歴史で学んで欲しいところである。
愛国心を育むことは学習指導要領上でも明記されている。
そして国防は国の最重要事項である。
日本の一部には未だに「愛国心をもつこと」=「戦争賛美」という残念な思考パターンがある。
これはある時期の教育の結果である。
私の子ども時代の教育にも、その傾向が確実にあった。
国旗掲揚→愛国心→戦争という荒唐無稽な思考パターンである。
(特にこの教育を受けた世代は、外で学ぶ機会を自ら設けないと、このプログラムが書き換わることはないかもしれない。)
これは、全く違う。
国を愛することの本質は、自分自身を愛することである。
前号でも書いたが、確かにどの国にも、歴史の中で肯定しがたい事実がある。
侵略したこともされたことも、決して喜ばしくない事実である。
世界中でたくさんの人が死んだ戦争を肯定できるはずがない。
大航海時代に遡るまでもなく、各国間の略奪もある。
だからといって自国とその歴史を否定するのは、自分自身を否定する行為である。
自国というのは、自分の属する最小コミュニティである家族と同様、アイデンティティの一つである。
家族や家の過去にどんな歴史があろうが、それ自体を否定して自分自身を傷つける必要はない。
人間はただでさえネガティブ情報に着目する本能があるのだから、良いところに着目する教育をする方が健全である。
愛国心をもつことは、戦争賛美の方向では決してない。
むしろ、自国を尊重することは、そのまま他国をも尊重することであり、平和への希求ともいえる。
(「自国ファースト」とも全く違う。自分さえよければいいという姿勢は周りを侵害し、結果的に自分自身を傷つける。)
愛国心をもつとは、誰しも自分自身とそのコミュニティが大切で、尊重される存在だということを認めるためのベースである。
また、こちら側、例えば家族が傷つけられるのを黙って見ている訳にはいかないことが、世界が未だに平和にならない原因でもある。
自分や家族が傷つけられそうになったら抵抗するしかないのだから、互いに傷つけないようにうまく関係調整することが最優先事項である。
また、飢えて死にそうになっている人がもしいたら、裕福な自分のところへ米やパンを死ぬ気で盗んだり奪い取ったりしにくるかもしれないことも、考えるべきことである。
戦争そのものの存在を否定しても意味がないというのは、そのためである。
ロシア・ウクライナ間のような哀しい戦争が今でも各地である。
これを避けるためにも、自国を愛し同時に他国も尊重する姿勢が必要である。
自分自身を傷つけることを肯定すると、他を傷つける行為を肯定することに繋がるからである。
自己防衛の不安から攻撃行動をとったり、自暴自棄でやけになったりした状態からの行動が一番怖い。
だからこそ、自分と周りを大切にするということは、強調して教えるべきことである。
教えるべきを教える。
建国記念の日は、本当の愛国心とは、世界の平和とは何かを考え、教える契機である。
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