2020年7月14日火曜日

仕事とは、やりたいかではなく役立つか、喜んでもらえるか

学校の当番活動について。

当番活動は、ただ必要だから作るというものではない。
学習指導要領上でも、特別活動の中に明確に位置づけられている。
キャリア教育の一環である。
計画的になされるべきものである。

当番活動は、係活動とは違う。

当番活動は、生活を営む上で必要に応じて分業し、役割をもつという性質のものである。
「ニーズ」の活動である。

係活動は児童の創意工夫に基づき、生活をより良くしようという営みである。
「ウォンツ」の活動である。

他に貢献するという意味では、どちらも共通である。
「ないと困るもの」と「なくても困らないがあると楽しいもの」というような違いがある。

明確な線引きはできないが、例えば「電気係」は、通常当番活動である。
ただこれも、教室の電灯スイッチのオンオフ以上の何か付加価値をつけることができれば、係にできなくはない。
基本的に、何も工夫しなければ、当番活動である。

一方で「新聞係」は否応にも創意工夫が入る。
なくても困らないものだし、読んで楽しんでもらうために工夫するというような性質を自然と帯びる。
よって、当番活動にはなりにくい。

学年や発達段階に応じて、この辺りの線引きは工夫する。
二つを明確に分けて存在させることもあれば、混在させることもある。

要は、この活動によってどんな力を育てているのか、指導者側が意識できていることが大切である。
いずれもキャリア教育の一環であり、社会に出て働く上での基盤を作る重要な教育活動である。

当番や係の活動を決めると、必ず起きるのが、希望人数の偏りである。
その時にしたたとえ話。

通常、レストランに行った時、ハンバーグが食べたいなら、自分で注文してハンバーグが出てくる。
当たり前である。

しかし、社会で働くというのは、ここが違う。
自分はハンバーグを食べたいのに、有無を言わさず天ぷらうどんが出てくるのが社会の仕事である。

ハンバーグしか出てこない仕事を選ぶというのが最善手であるが、そういうものは少ない。
通常、出された天ぷらそばを頂くことになる。

仕事というのは、たくさんの人の分業によって成り立っている。
そうなると、自分の希望するものが回ってこないことの方が圧倒的に多い。
特に大きな会社、組織ほど、そうである。
(はっきりはわからないが、恐らく自営業であっても同じである。)

次は、美容師の方から聞いた話である。
専門学校を出てある大手美容院に勤め始めた新人の女の子がいた。
「これで髪を切る仕事ができる」と思って意気揚々と出勤したが、いきなり切らせてもらえるはずがない。
最初は、掃除からである。
当然、個室のトイレ掃除もあった。
そしてこの人は、掃除をするのが嫌で1日で辞めた。
しかも本人でなく親から「うちの娘は辞めたいと申しております」と連絡があったという。

こういった人を育ててしまったのは、学校であり家庭である。
大いに反省すべきところである。

仕事とは、やりたいかではなく役立つか、喜んでもらえるか。
これに尽きる。

「自分が役立てそうだと思うところへ、移動できる人は移動して結構です。」
じゃんけんなしで決まった。
どんな場であっても、輝く人は輝く。
そういうことを学ぶ場でもある。

「将来働く時に役立つ」という考え方は、教育活動において常に必要な視点である。

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