2020年4月15日水曜日

学級経営の肝「下手うちをしない」

学級経営について。

学級経営に限らずだが、何事も「下手うち」をしないことが成功の大原則となる。
基本的には「樽の原理」が適用される。

樽の原理とは、次のようなことである。
樽の中の一枚だけが低い(上部が空いている)とする。
すると、そこから中身が全て流れ出し、中身は一番短い樽木の高さまでの量になる。

ビタミンやアミノ酸の摂取可能量は、この原理で考えるとわかる。
例え一つの種類でも足りないものがあれば、他の成分がどんなに豊富にあっても、そこまでしか摂取できない。
製品の中の一つの部品のみが極端に足りないようなもので、それだけで残り全てが製品として成り立たない。

再三述べているように、学級経営においては、必ず上手くいく鉄板の方法というのは、ない。
一方で、上手くいかない方法なら、かなり汎用性がある。
「これをやれば高確率でアウト!」というものである。
下手うちである。

『切り返しの技術』でも『高学年』も、そこが一番の「売り」であり読んで欲しいポイントである。
参考:『お年頃の高学年に効く!こんな時とっさ!のうまい対応』
https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-140623-3

何が「下手うち」なのかがわかれば、それをやらなくなる。
例えば、「馴れ馴れしい」「乱暴な言葉遣い」というのは、下手うちになりやすい。
これは、今学校に来られないせいで主流となりつつある、ネット上で用いる言葉でも同様である。

親しみと馴れ馴れしさを混同すると、特に低学年では指導が通らなくなる。
乱暴な言葉遣いは、威圧ととられやすい。
雑な言葉遣いは、雑な扱いをされているととられやすい。
高学年女子への男性教師の「〇〇ちゃん」という呼び方も「キモい」(使いたくない言葉だが、実際こう言う。)ラインに引っかかりやすいので、多くの場合アウトである。

誰でも必ずしも当てはまる訳ではないが、これらは「高確率」なのである。

また高確率でなければ大丈夫という訳でもない。
アウトとなる対象が「たった2割」の行為があるとする。
8割の子どもは大丈夫な訳である。
しかし、これらの行為が複数、例えば3つある人の場合、
0.8×0.8×0.8=0.512である。
つまり、約半数近くの人が「アウト」と感じることになる。

そうなると、何が下手うち行為なのかということが気になる。
実際、下手うちになる行為を挙げるときりがない。
こういう雑多なことは、原則を考えて大まかに押さえておけばよい。

一般的にアウトになりやすいと思われる傾向のある行為の原則を考えて羅列してみる。
・子どもをなめている、見下している
・過度に支配的、管理的、操作的(この場合、表面的には反発してこない。)
・閉鎖的
・結果主義、点数主義
・差別的
・不機嫌
・媚びる、阿る
・やたらと叱る、怒る
・おどおどしている
・方針がわからない
・年齢や経験に不相応な勉強不足、技術不足

要は、理想的なリーダーの逆の行為である。
中には昭和的な「めちゃくちゃ怒鳴り散らすけど尊敬できる」みたいな人もいるにはいるが、ついてこられる人の方が例外である。
一般的な子どもを預かる立場としては、あまり理想的とはいえない。

いつも通りだが、逆を考えればうまくいきやすい。
・子どもに対してリスペクトの気持ちがある
・オープン
・ルールを保障しつつ、必要な自由も保障する
・学習の過程を重視する
・平等(ただし何でも「皆さんご一緒に」の悪平等ではない。)
・上機嫌
・凛としている
・穏やか
・堂々としている
・方針がはっきりしている
・よく勉強し技術を磨いている

まあ、書けば「それはそうだが、それができないから苦労している」というようなものばかりでもある。
それでも、それが理想型なのである。

万人に好かれる必要のない職業では、ヘイトスピーチや過激な発言が有利に働くこともある。
例え一部を完全に捨てても、一部の強烈な支持者を得る方が有用だからである。

しかし、担任教師の仕事は、一人たりとも捨てることはできない。
強烈な支持者を得ることも大切だが、強烈な反対者がいることのマイナスの力の方がはるかに大きい。

だから、なるべく下手うちを知って、それをしないこと。
ここに注力するのが、いわゆる学級崩壊等を防ぎ、万人に対応できる学級経営の肝である。

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