2020年3月11日水曜日

ウイルス騒ぎと節度

節度について。

先日、親戚に不幸があり、宮崎県に帰った。
電車はおろか、店一つない山奥の限界集落である。
こんな山奥の学校であっても、ウイルスの影響で休校である。
集まっても10人弱のはずなのだが、全国に例外はないということである。

さて、ここに来て親戚と話すと、「遠方のスーパーでもマスクが売っていない」という。
何なら、キッチンペーパーとかすらないという。
みんな穏やかに暮らしている印象だったが、ここも例外ではないということである。
いや、そもそも店自体が少ないから、逆に致し方ないのかもしれない。

東京都内でマスクが売り切れる。
これは何となくわかる。
人口密度と需要が違う。
急激な需要増加に供給が追い付くなるのも、まあわからないでもない。

しかしである。
これは、需要と供給の問題ではあるが、本質は節度の問題である。
そして算数的には、割り算の問題である。

割り算には、二種類ある。
用語としては、包含除と等分除という。

包含除とは、一つ当たりの量が決まっていて、それがいくつあるかを求める割り算である。
例えば「一人2個あめを渡す。10個あるが、何人に渡せるか」というタイプの問題である。
何人かいて順番にもらっていって、自分までがもらえるかわからない。
あるいは、受験の倍率のように、「何人に一人が合格」という場合である。
いわゆる「ゼロサムゲーム」である。
ということで、私はこれを「ドキドキ割り算」と教える。

等分除とは、全体量に対し、決まった数で同じ量に分けるもの。
例えば「2人いて、あめが10個ある。一人当たり何個もらえるか。」というタイプの問題である。
量の増減はあるが、人数分、みんな均等に確実にもらえる。
ということで、私はこれを「にこにこ割り算」と教える。

学級の給食のおかわりシステムも、どちらかの割り算を採用していることが多い。
先日紹介したが「牛乳」の場合を例に出すと、牛乳が3本余っていて、6人希望者がいたとする。

じゃんけんして2人に1人がもらえるのは。「ドキドキ割り算」。
式は6÷3=2である。
倍率2倍である。
ドキドキである。

3本の牛乳を別の容器に6人で等分に分けるのが「にこにこ割り算」。
式は3÷6=0.5あるいは1/2。
6人全員で分け合い、一人あたり一本の半分の量をもらえることになる。
にこにこである。

さて、マスク不足問題は、明らかに包含除、「ドキドキ割り算」の方である。
普段のマスクの在庫量を100とする。
一人当たり1個ずつ、100人に売る想定での在庫管理である。
客1000人を想定する店なら、1000個在庫を抱えておく状態である。

店舗としては、余剰在庫というのは「リスク」である。
売れない在庫を抱えると負債になる。
(店舗をもたないアマゾンのようなネット店舗が最強な理由の一つである。)
だから、売れる想定分しか在庫はない。
つまり、基本は1人に1個の想定である。

ここで突如、1人で5を買う人間が出たとする。
この種の人ばかりが集まると、
式 100÷5=20
である。
100人分あるはずのマスクが、強欲な20人の手にしか渡らなくなり、残り80人の取り分は「0」である。
中には10とかもっと買う人もいる。
必要な人数に行き渡るはずがない。

ちなみにこれは、在庫量を増やしても「焼け石に水」である。
先に大量に買った20人はかなり強欲なので、もっとあるなら、もっと買ってしまうからである。
さらに残った80人の内の多数も疑心暗鬼になっているため、買える時に買う量が1個で済まない。

結果、静観している人には、いつまでもマスクは行き届かない。

しかし、マスクでも何でもそうだが、通常一人あたり「1」以上は使わない。
それ以外は、最終的には余剰在庫であり、先に述べたように、負債である。

節度である。
一人あたりの取り分、分け前というのは、自然の摂理で決まっている。
一生の内にたくさん食べたいからと、1回ずつをどんなに大量に食べても、死ぬのが早まるだけである。
一人当たりの総量は「1」であり、同じである。

買占め問題。
今日で丸9年となる、東日本大震災の教訓が生きていない。

今回のウイルス騒ぎは、地球上の人間一人一人に節度をもてという、天からの啓示であるように思えてならない。

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