2020年9月28日月曜日

少人数学級に効果をもたせるには

 今、少人数学級実現に向けて、議論が様々に起きている。

以前にも書いたが、少人数学級を急激に実現しようとすると、歪みが生じる。


次のベストセラー本にも、少人数学級のことが書いてある。


『「学力」の経済学 』中室牧子 著  ディスカヴァー・トゥエンティワン


「その教育に本当に効果があるのか」という切り口で、様々な教育の施策や手法を調査している本である。

この本のすべての根幹は「科学的根拠」=「エビデンス」である。


この本における少人数学級、学力向上への効果の評価はどうなのか。

結論だけ言うと

「少人数学級は効果があるが、費用対効果が低い」

となっている。


これは、学校において最も費用がかかるのはどこかを考えると納得がいく。


建物の改築でもICT関連の整備でもない。

人件費である。

人を一人雇うというのは、とてつもなく高い予算確保が必要になる。

まして正規雇用するとなれば、その費用は一年間で終わらないからである。

人間も、費用がかかるという点では設備や物と同様である。

「10年間で5000万円以上」の費用がかかるものに対し、一体いくつ買えるかということである。


単純な費用対効果でいってしまうと、人間はあらゆるロボットに勝てない。

ロボットは「作業能率」でいえば、最強だからである。


例えば多少高価なコピー機であれば、両面印刷からホチキス止めまで全てをボタン一つで自動で終えられる。

学校でも、20ページほどある冊子を何十部と作ることはままある。

これを人の手でやるとなると、かなりの時間がかかる。


職員会議がペーパーレスでないのなら、毎月のようにこの作業がある。

これを印刷して、並べて、一枚ずつとって、綴じて、という作業をやると、膨大な時間と手間がかかる。

教職員一人あたりにかかっている費用を考えると、かなりの無駄である。

高性能なコピー機に頼めば、1分以内の操作で終わる作業である。


こういう無駄なことが日常的に行われている学校がかなり存在する。

なぜなら、そもそも、そういう高性能なコピー機が配備されていないからである。

日本の学校の予算は、いつでもぎりぎりである。

(あるのに使わせてもらえない、という冗談のような事態も結構あるかもしれない。)


話を戻すと、少人数学級の費用対効果は、これら機器の導入と比較しても低くなる。

効果以上に、導入費用自体がものすごく高いからである。


その効果を高めるには、従来の在り方とやり方を変える必要が出るということである。

今のまま急に採用を増やしても、仕事に魅力がないのであれば、良い人材が集まらない。

また、機器が優秀だからといって、今のまま高性能タブレットを導入しても、活用の仕方がわからない。

(教科書配付のコストがなくなるのは大きい。印刷と配送料だけでも相当な費用である。)


新しいやり方には、新しい在り方がある。

新しい生活様式になって久しいが、環境が変わると、あらゆるルールががらりと変わる。


新しいことの導入は歓迎しつつ、どうあるべきかを探っていきたい。

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