2019年1月27日日曜日

魔法の指導法は存在するか

前号で、「本物は福を分かつ」という話を書いた。
あらゆるサービスにおいて、福を分かつことが大切である。

例えば、本。
本物の本は、読んだ人の人生に貢献する。
買った相手が幸福になるのが、本物であり、一流である。

常々、本のタイトルは大切だと述べている。
なぜなら、著者や出版社への信用に関わるからである。

誇大広告は、いけない。
相手を尊重していない。
タイトルと内容とのずれは、買った人の願いと結果とのずれを生ずるからである。

学級がうまくいかない時、当然何とかしたいと思う。
子どもたちが、突如見違えるように良くなる方法。
あるだろうか。

実際は、目に見えないような微かな変化から、じわじわと時間をかけて正常化していく、というぐらいで最高の効能である。
なぜなら、それが正常な人間関係の変化だからである。
担任が突如別人のように性格や考え方が変われば話は別だが、それはもはやマインドコントロールの世界である。
(そして、突如変わったら、子どもも戸惑ってしまうだろう。)

そこで「魔法の」というフレーズ。
これは教育系の本でよく使われるが、これは買う前によくよく自問する必要がある。

「魔法の」指導法が存在しないかというと、これは存在する。
ただし、魔法は「使い手が命」ということを前提として知っておく必要ある。
本人が「魔法使い」でないと使えない。
つまり、既に魔法使いの人にとっては「魔法の」系の本は有効に働く可能性がある。

「魔法の」という本は、魔法使いの人向けの本なのである。
ここをわかっていないと「インチキだ」と文句を言うはめになる。
繰り返すが、インチキではなくて、魔法使い向けの本なのである。
医療関係の職業に従事していないと、医学書を読んでもさっぱりわからないと同じことなのである。

では、魔法使いとは、どういう類の人なのか。
「思い込み」の魔法を自他にかけられる人である。
「僅かな可能性にかけられる人」である。
本物の自信があり、自己決定ができる人である。
自分と他人の変化を信じられる人である。
そのための行動を起こせる人である。

魔法が確実に使えない人というのは、この逆を考えればよい。
つまり「可能性が高くないとできない、やらない」という人。
自信がなくて「みんな」の意見に流される人。
「でも」「だって」「どうせ」「仕方ない」が口癖の人。
自分と他人を一面的にしか見て決めつけがちな人。
行動を起こせない人。

上記に当てはまる場合、魔法使いではないので、「魔法の」「すぐ変わる」系の本は読まずに捨てた方がよいといえる。
時間の無駄になるから、別の本を読んだ方が効率的にもよい。

私自身は、自分の目の前にいる子どもであれば、直接魔法をかけることができる。
私が自信をもって「あなたなら絶対できる!」と断言できれば、かなりの確率でできるようになる。
ただしそれは、私がその子どもと信頼関係を築いてきている場合に限る話である。

更にいうと、自分が自分自身との信頼関係を築けていることがベースである。
私が自身へのやり抜く信念と指導技術に自信がある場合のみ、魔法は有効である。

逆に言うと、そんなに信頼関係が築けていない相手だと、魔法はかけられない。
自分に自信がない場合もダメである。
魔法は、信頼ベースなのである。

つまり、魔法をかける以前にこそ大きなポイントがある。
魔法は「結果」であり「おまけ」でしかない。
そういう前提で「魔法のフレーズ」「すぐできる」を使うことが大切である。

関連して、以下は自著の宣伝。

拙著『ピンチがチャンスになる切り返しの技術』が版を重ねて広がり続けている。
https://www.amazon.co.jp/dp/4181907120
これは、魔法の本の類ではないが、正しい使い方はある。
(当たり前だが、疑り深く読んでも全く効果は出ない。
私の提言への信用がベースである。)

フレーズだけでも使えるのだが、各見開きの右ページ中段に書かれている「観」の部分をこそきちんと読み込んで欲しい。
用法・用量を守って正しくお使いいただいてこそ、効能が出るというものである。

目の前にある、素晴らしい効能があるはずのたくさんの本(あるいは、尊敬する素晴らしい実践家。)。
しかし、今それは、自分にとっては宝の持ち腐れかもしれない。
自分に効果の出る本(あるいは人)は、別にあるかもしれない。

今の自分に必要な本はどれなのか。
選考基準は、読んでいてワクワクすること、それを今すぐ使いたい、やってみたいと心から思えること。

私は初任から数年間の苦しい時、ここに当てはまるわずか数冊の本だけを繰り返し読み込んだ。
やたらと手を広げて魔法を求めずに、これだと思う1冊にかけるのもいいかもしれない。
それこそが、本当に自分自身に魔法をかけてくれる1冊である。

私の著書も、試してみて欲しい。
繰り返し読めるぴったりの1冊という人もいるに違いない。

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