2020年3月1日日曜日

保護者対応の原則「背中を向けない」

「保護者対応が苦手」という声は多い。
本来子どもの成長を共に願う味方であるはずの保護者が「敵」になってしまうのである。
大変残念なことである。

なぜなのか。

これは前号に書いたことにも関連するが、「本質」を外しているのが原因であることが多い。
学校の教育の本質は一点。
「子どもの成長を第一に願う」という一点である。

失敗パターンも一点。
本質の真逆を考えればよい。

ずばり「保身」である。

我が身を守ろうとするから、失敗するのである。
きちんと見ないから、恐ろしいのである。

どういうことか。

つまり保護者だって、教師の行為が子どもの成長を考えてのことと理解していれば、文句なぞ言いようがない。
教師が「自分勝手」に見えているから、文句の一つも言いたくなるのである。

これは、商売を含めたすべての場合にいえる。

お客様が、クレームを言うとする。
お客様が、何を求めているのか。
商品を購入したとするならば、商品が不当だったからである。
不備があるからである。

そこで、逆に「火に油を注ぐ」行為を考える。
それは、「言い訳」である。
「うちは悪くないんですよ」という対応である。

これは、ほぼ100%確実に炎上する。

お客様は、悔しい気持ちを救って欲しいのである。
商品をどうにかするか、対応をして欲しいのである。
だからわざわざ重い口を開いているのである。

正しい対応は、言い訳の真逆を考えればよい。
つまり「言い分をきく」が第一で、「何ができるか」の提案が第二である。
商品の何が不備かをきき、できる限りのことを提案するというだけである。

学校の場合に当てはめる。
保護者が何かを要望してきた。
まずは、きく。
何がして欲しいかもきく。
次に、「できること」を提案する。

ここで要注意なのは
「相手がして欲しいこと」=「自分ができること」
ではないという点である。

「何ができるか」の提案と同時に「何ができないか」をはっきり伝えるというのも大切である。

この時、保身が見えるようではだめである。
相手のために、誠意をつくす。

その上でできないことをはっきりと言うのは、本質を守るためである。
その要望をきいたら、長期的に見て子どもの成長を阻害するようなことは、受け容れられない。
伝える理由も、その一点である。
「子どもの成長のためにならない」からである。

対応の原則は、まず相手に正対し、続いて寄り添うというのが基本である。
一番ダメージが大きいのは、背中を向けて逃げようとするところを撃たれることである。
そのみっともない姿で食らうダメージは、致命傷である。

相手から逃げてはいけない。
逃げるほど、追いかけてくるものである。

そうとはいえ、こちら同様に相手も人間なのだから、中にはごく稀に理不尽な人もいる。
万が一理不尽な相手なのであれば、守ってもらう方が確実にいい。
理不尽な相手は、執拗に追い回すことに関しては得意分野である。
どんなに逃げても勝ち目はない。

こういう自分にはどうにもできそうにない場合、逃げるのではなく、周りに助けてもらう方を考えるべきである。

子どもの成長を第一に考えている人なら、確実に人は助けてくれる。
逆に、保身を考えているだけの人なら、まあ誰も親身に助けようとは思えない。
だから、子どもに誠実であることこそが、何より最も有効な保護者との良好な関係づくりの手段になる。

どんなに怖い気がしても、目をそらさない、背中を向けない。
か弱く身勝手な「私」ではなく、子どもの成長を第一に考えた「教師」という公の使命を負った人間として話す。
保護者対応が苦手な全ての人に伝えたい、原理原則である。

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