単著「ピンチがチャンスになる」に関連した話。
実習生の授業を見ていると、「勿体ない!」と思うことがある。
子どもが、指導案にはない反応を出してくる。
正しくはないが、面白い見方。
別の解。
教える側の想定を越えた答えである。
こういう時、実習生はこの反応が「ピンチ」に見えている。
実はチャンスもチャンス、「大チャンス」である。
そういう反応にこそ、平坦な授業をぐっと盛り上げるパワーがある。
先日は、こんなことがあった。
6年生の比例の学習。
「比例の表をみて、XとYを用いた式に表そう」と投げかけた。
机間巡視すると、次の二つに分かれていた。
Y=X×決まった数
Y=決まった数×X
教科書を見れば、後者であるが、前者の反応が多かった。
どうするか。
実習生に「聞いてみれば?」と投げかけ、反応を見た。
ノートになぜそちらが正しいか書く。
すると、やがてそこかしこで議論が始まった。
前者が正しいと思っていたら、理由を書くほど矛盾してくる。
結局、決まった数が「1あたり」を表すことから、後者が正しいということに落ち着いた。
(ただし、実は問題によっては、前者の方が適切なこともある。後々また話し合えばよい。)
実習生自身も、こういう授業を望んでいたという。
しかし、指導案上にはそれはない。
こんなことは予想していないのである。
一見するとどうでもいいことのようで、かなり重要であるが、やらないとわからない。
ピンチかと思ったら、これこそがチャンスである。
「指導案は書いたら捨てる」というのは、そういうことである。
脱線を面白がれるようになると、一つレベルアップになる。
「ピンチがチャンス」に見える状態である。
本書「ピンチがチャンスになる『切り返し』の技術」 には、
そういった「切り返し」の技術がたくさん書かれている。
http://www.amazon.co.jp/gp/bestsellers/books/500322/ref=pd_zg_hrsr_b_1_5_last
特に若い先生はこれをぜひものにして、様々な場面に活用していただけたら嬉しい。
2016年12月19日月曜日
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