2020年2月18日火曜日

リスクマネジメントを考える

リスクマネジメントについて。
ある投資家の方の話。

リスクとは何か。
直訳すると「危険」である。
あまり好ましくない事態である。

しかし、投資の世界ではリスクを「想定外の振れ幅」と考えるという。
どういうことか。

大きな利益と損失、両方が想定されるものがあるとする。
これは「リスクが高い」とはみなさない。
現時点で、振れ幅が想定されるからである。

逆に「大きく損しないから安全」という前提で買った商品(企業銘柄や通貨)があったとする。
これが想定外に値を下げてしまうような場合。
これを「リスクが高い」とみなす。

つまり、予め「危険度」がわかっている範囲が明確であれば、リスクとは考えない。
リスクが高いとは、想定外が多く起きることである。
逆に言えば、そういったものは、チャンスも大きいといえる。
想定外が大きい銘柄は、とてつもなく安く手に入ることもあり、あり得ない高騰も起きる。
(一時期爆発的な値段の変動を見せたビットコインなどはその好例である。)

教育メルマガという立場から、何が言いたいかというと、ずばり想定することの大切さである。

学校現場で、何かを実施する時、この時「想定される危険度」が大切になる。
学校において、子どもが危険に晒されることは容認されない。
一方、危険が想定されていても、万全の対策ができている場合、実行できる。

わかりやすい例で、水泳指導などはその前提に立っている。
指導中の子どもの命の危険が認識され、想定されている。
しかし、その分対策もきちんと打つ。
だから、安全面についてものすごく厳しい上で、実施が許されている。

しかし「事故」が一件でも前例としてある場合、確実に対策が必要である。
事故やミスにおいて「二回目は別物」であり、悪質とみなされる。

例えば小学校のプールにも、かつて飛び込み台があった。
しかし、悲しい事故が起きたことで、対策が必要という認識が高まった。
かつて「想定外」のものが「想定内」にシフトした訳である。
(逆に言えば、かつては飛び込み指導でも「命の危険まではない」という常識で実施されていたといえる。
危険の想定ができていない=「リスクが高い」といえる。)

ただ単純に「危険だからやらない」というのも、あまりに安易である。
危険を想定した上で、確実な安全対策を検討する方が先である。
そこで次に「飛び込み指導」をするメリットとデメリットが検討される。

「飛び込み指導」には、この運動独自の宙を飛ぶような運動技能の獲得やタイム短縮といったメリットがある。
ただ「適切に指導すれば大丈夫」という意見も勿論あるが、それが全国全ての小学校に適用できそうかというと、答えは「NO」である。
結果、全国の小学校から飛び込み台が消えた訳である。

学校での水泳指導自体をやめるところもちらほら出てきた。
これは安全面の問題だけでなく、費用面や効果のメリット、デメリットの検討の結果である。
検討の結果に加え、「想定外の振れ幅が大きい」=「リスクが高い」とみなされるものは、実施されない。

「マラソン大会」がある学校は、あらゆる危険が想定され、対策が取られているはずである。
ネット検索すれば、学校の指導下におけるマラソン練習中の死亡事故例が山ほど出てくる。
児童が無理な競争をして倒れるという事態も容易に想定できる。
そこへの万全の対策と指導があれば、実施できるかもしれない。
なければ、実施しないはずである。
その辺りの勤務校の対策も、全職員が知っておいた方がよい。

加えて、実質的に順位がつけられることへの配慮、練習からずっと「ビリ」で毎回走り続ける子どもへの配慮も当然必要である。
一回、一瞬で終わる短距離走とは、訳が違う。(これも多分嫌だろうが。)
精神的にも極めて大きな「危険」が想定される指導と行事である。
(かつてフィンランドのある校長が、日本のこの行事の在り方に「正直がっかりした」とコメントした話も有名である。)

それは、想定外か想定内か。
危険が想定できるのであれば、対策がとれそうか。
逆に、対策がとれるのに、実施をためらっているということはないか。

新年、新たなチャレンジを考えている人も多いことと思う。
何か新しいことを始めて、それを成し遂げようとする際にはこの「リスクマネジメント」の考え方が必要である。

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