前号の「鉛筆1本を大切にする」という話の続き。
学級担任に限らず、何の仕事でも、やるべきことは「無限」にある。
あれもこれもはできない。
だから「1点突破」は基本的な戦略である。
「そんなこと、どうでもよくない?」と言われそうなことを、徹底してやる。
河邊氏の本を推薦している鍵山秀三郎氏の言だが、これを
「凡事徹底」
という。
私は、とても徹底までは至らないが、教育の場面において譲らないところがいくつかある。
「別に、そんな細かいところ・・・」で終わらせない。
陰で口うるさいと言われようが、裏でぶつぶつ愚痴られようが、しつこくやるし、言う。
よく「学級経営のコツを教えてください」といった類のざっくりとした悩み相談を受けるが、実はこの辺りが答えになる。
一見どうでもよさそうな細かいところに、コツが眠っている。
例えば、掃除の時間。
子どもたちは「隅っこ」や「見えない所」が気になっているか。
ほこりがたまっている箇所を見つけられるか。
具体例を挙げると
・ゴミ箱や教師用机の下
・部屋の四隅
・カーテンレールや窓、出入り口の上の桟の部分
・掃除用具箱の中
・ゴミ箱やバケツの中
等々である。
私がいつも気になるのが、ほうきそのものについたほこりである。
毛櫛で取らずに、ぽんと掃除用具に入れていることがある。
(自分の学級でも未だにある。徹底ができていない。)
ほうきの役割は立ってやれる分、床拭きの子どもよりも姿勢が楽なのだから、最後に道具のほこりを取るぐらいはさせたい。
なぜここにこだわるかというと、次につながるからである。
要は、ほうきのほこりを取るという行為が、次の準備になる。
次に使う人への配慮にもなる。
道具の本来の力を発揮でき、作業能率も上がる。
使う前にきれいだったのだから、使った後もきれいにしようという気になる。
そして、こういった態度が、他のあらゆることに波及しだす。
次につながる好循環の始まりである。
逆をいえば、ほうきのほこりを取らないだけで、悪循環の始まりになり、波及する。
先に挙げた利点を逆さにして読むことになる。
たかがほうきのほこり取り一つでも、徹底するのは意外と難しい。
ただ、ここ1点を突破しただけで、他のかなりのことが違ってくる。
学級経営のコツとかいうと、一発逆転のすごいテクニックがあると思っている人もいるかもしれない。
実は、こういう地味なところを、放置せずに詰めていけるかどうかにある。
教育実習生などには、しつこく伝えているが、実際やってみないと実感はもてないだろうとは思っている。
服装や持ち物、言葉遣いといった細かいことを注意するのも、こういうことを考えた上である。
学級経営のコツは、地味で地道。
派手で劇的な方法を求めてしまうならば、ぜひ伝えておきたい事である。
2018年1月23日火曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
-
名称の謎の話。 小学校で行う跳び箱の切り返し系の技といえば、開脚跳びとかかえ込み跳び。 かかえ込み跳びは「閉脚跳び」とも呼ばれる。 名称が二つあるのは、学習指導要領での表記の変遷による。 以下、体育の豆知識。(興味ない方は読み飛ばしていただきたい。) かかえ込み跳び...
-
教材研究という言葉が一般的である。 教えるために、教師として教材を読むのが教材研究である。 (まるで私がわかった風な口をきいているが、完全に野口芳宏先生の受け売りである。 以下同様。) 教材研究の前にすべきは、素材研究。 教えるためでなく、一読者として作品について調べ、読み込む...
-
前号の続き。 教師にとっては、結構知っておくべき「大切」な事ではないかと思う。 (そして、教師以外の人々には本当にどーでもいい話題であるかもしれない。) 例の如く野口芳宏先生よりずばり。 「課題」は出されたもの。 「問題」は感じたもの。 つまり、教師から与えたものが「学習課題」。...
0 件のコメント:
コメントを投稿