国語科における「話すこと・聞くこと」の評価は悩む。
話すことと聞くことが、全く異なる能力だからである。
私は、常々、それらは別々の能力で、更には聞くことが先で大切だという立場でものを考えている。
学習指導要領の記述に対しても、同様の疑問がある。
「話すこと・聞くこと」ではなく、順序的には「聞くこと・話すこと」ではないか。
インプットとしても、聞くことが先にあって、話すことが後にくる。
読むことが先にあって、書くことができるようになるのも同様である。
要は、「話すこと」と「聞くこと」の力は、一括りにできるかという問題である。
「話すこと」が得意な子どもがいる。
この子どもが「聞くこと」が得意かというと、真逆であることが多い。
「聞くこと」が得意な子どもがいる。
この子どもが「話すこと」が得意かというと、真逆であることが多い。
ものを教える時に、どちらの力がある方がよく学べるか。
これは圧倒的に、よく聞く方である。
人の話も聞かずに、話したいように話すだけなら、教える必要はない。
十分なインプットをすれば、自ずから必要なアウトプットをするようになる。
国語の大家である野口芳宏先生の言葉にも
「学力の根本は、聞く力」
とある。
二十年近く小学校の現場で教えていて、全くその通りであると実感している。
要するに、「話すこと・聞くこと」は一括りにできる能力ではないということである。
能力としては、別々に考えた方がいい。
二つの力が、関連しているのは当たり前である。
読むのも書くのも聞くのも話すのも、語彙力もすべて関連している。
しかし、能力としてはそれぞれ別である。
聞く力が高い人。
話す力が高い人。
読む力が高い人。
書く力が高い人。
語彙力が高い人。
全て兼ね備えている人ももちろんいるが、どれかだけは得意、という人も多いはずである。
(語彙力が高いのに読めないというのは考えにくいが。)
話すとか書くとかいうのは、主としてアウトプットの能力であり、表現能力である。
一方、聞くとか読むとかいうのは、主としてインプットの能力であり、理解力である。
分けて考える。
小学校のワークテストに「話すこと・聞くこと」があるが、あれは完全に「聞くこと」のテストである。
「話すこと」の力をテストにしたかったら、スピーチをさせたり面接をしたりする以外にない。
「話すこと・聞くこと」は、一括りにできない。
そう考えると、評価の仕方もわかりやすく変わってくるのではないかと考える次第である。
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