2020年9月2日水曜日

ロボット 使うか使われるか

前号の続き。


ご存知の方もいるかもしれないが、ロボット掃除機の最大の良さは、実はその吸引力や性能そのものではない。

「床に物を置かなくなる」という点である。

つまり、使っている人の生活習慣が変わる。


ロボットに任せるとなると、吸ってもらっては困るような、小さなものを床からどける必要がある。

さらに、きれいにしてもらうためには、床スペースを多くとる必要がある。

物がごちゃごちゃ置いてある空間には、ロボットが入れないからである。


自然、部屋を整理・整頓するようになる。

更に、床がきれいになると、上の空間もきれいにしたくなるから、不思議である。


ちなみに、これを自覚して使っているのであれば、それはロボットに使われていることにはならない。

ロボットを導入することで、自分の整理整頓習慣がつくようになることをねらっている。

運動習慣をつけようと、ジムに通うのと同じである。

お寺に修行に行くのも、同様の効果がある。

他律的自律であり、他力の活用である。


ロボットがこれから進化して、ドラえもんのように手足があって考えて物をどけてくれるようになれば、話は別である。

しかし、その果てしない利便性の追求は、最終的に人間の堕落につながる。


その辺りの危険性を、もう50年ほど前から指摘していた短い物語がある。

かの有名な『きまぐれロボット』である。


『きまぐれロボット』星新一 著 角川文庫


人間というのは、気を抜くと、限りなく怠けることができる。

ロボットに使われるようではいけないということである。


これから、オンライン環境の普及やデジタル教科書の導入等、ICT化が加速するはずである。

その時、学校現場で大切な心がまえは、ICTを活用するのであって、ICTに振り回されないことである。

主従関係が逆にならないことである。


例えばデジタル教科書が導入されることで、それをこちらがどう使うかである。

デジタル教科書になったからといって、急に子どもが意欲的になったり、こちらの授業の腕が上がったりする訳ではない。

この導入によって、従来に比べてこちらの何が自由になって、何が不都合になるか。

今までだったら問題にならなかった、床に散らばったものを片付ける必要があるかもしれないということである。


ロボットやICTの活用にあたっては、メリットとデメリットを自覚して活用したい。

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