前号の続き。
オンラインの講座で「学級集団づくりの4段階」の話をした。
そこで質問が出た。
「どうやってその段階を見抜くのか」
確かに、その通りである。
感覚的にわかる、というのでは、伝わらない。
具体的に答える必要がある。
持ち上がりでないのなら、原則として基本は第1段階からのつもりで始める。
第2段階の一斉指導が成り立つか。
第3段階のペア・グループ活動はどうか。
第4段階を目指して任せてみたらどうなるか。
これらを、触診のように行う。
そのために、日々の観察をする。
仲間の話を黙って聞ける集団かどうか。
これにより、第2段階の成立・不成立が診断できる。
(教師の話すらもまともに聞けないのは、これ以前の第1段階という診断である。)
休み時間にいつもひとりぼっちの子どもがいないか。
いつも特定の子どもたち同士が、不自然にくっついている集団ではないか。
これにより、第3段階の成立・不成立の診断材料にできる。
(ちなみに、ひとりでいるのが悪い訳ではない。
精神年齢や趣味が平均と異なる子どもの中には「基本的に一人が落ち着く」という場合も少なからずあるので、無理に交流させる必要はない。
一緒に遊びたいのに、仲間に入れてもらえない子どもがいないかを見抜くのが重要である。)
例えば急な電話対応等で授業開始時間に担当の教師がいない時、自分たちで考えて必要な行動を率先してとれるか。
放っておいても自分たちで遊びを考えられるか。
学級会を自治的に運営し、問題発見や解決ができるか。
第4段階の成立は常に目指すところだが、こういった小さなことの積み重ねが自治的集団につながる。
更に、書面での調査も有効である。
学級目標を作るためのアンケートに、次のような項目を入れておくのである。
(ちなみに、これは何度も紹介しているが、原田隆史先生が主宰の「東京教師塾」で教わった手法である。)
1.どのような学級が「理想の学級」ですか。(1つ~3つ以内)
2.では、どのような学級が、「嫌な学級」ですか。(1つ~3つ以内)
3.同じ学級の人から「してほしいこと」をあげましょう。(1つ~3つ以内)
4.同じ学級の人から「してほしくないこと」をあげましょう。(1つ~3つ以内)
アンケート結果は、回収後に全てこちらで打ち出して、全員に配付することも予め告げておく。
回収時は記名するが、打ち出したものは誰が書いたかわからないように、ランダムに配置することも告げる。
記入は、その場だと書きにくいことも考慮して、宿題である。
実は、学級目標作りだけを考えるなら、単に1と3だけでもよい。
2や4をやることで、昨年度までの「いじめ」や嫌なことが出てくるのである。
膿出しである。
更に、その嫌なことをやっていた側も、ぎくりとする。
「嫌な行為」として共通認識されるため、それを非常にやりにくくなる。
学級として、これ以下はダメという「最低ライン」を設定できる。
そして、こちらが状態を把握できる、診断材料にできる、という訳である。
学級集団がどの段階にいるのかを見抜くことは、適切な学級経営手法をとる上で大変重要である。
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