学級経営のコツについて、実習生から質問を受けた。
「4月にどんなことをしてきて、今の状態になっていくのですか。」
核心をつきすぎる質問である。
次の予定もあり、これに3分以内ぐらいで答えねばならない状況である。
そんなに簡単に語れるものではないのはわかっている。
しかし、敢えてこれ、というものをずばり答えてみた。
一言でいうと「当たり前を躾ける」である。
私は「学級づくり」をテーマに講師として話す時に、必ず次の「学級づくりに大切な3要素」について話す。
1 安全・安心
2 ルール
3 楽しさ
1の「安全・安心」は、大前提なのである。
これのないところに何も築けない。
子どもは、身体的にも心理的にも危険なところへ、毎日出かけようとは思えないだろう。
学級担任がどっしり構えて頼れる存在であることは、大前提なのである。
大人が、教えるべき子どもに「びびって」いるようでは、どうしようもないということである。
子どもたちは、ただでさえ前年度までの人間関係に苦しんでいることが多いのである。
穏やかな笑顔で迎えながらも、腹を括っていること。
新しい学級づくりの初期段階の子どもたちにとって、強く頼れる存在であろうと覚悟していること。
ここだけは絶対死守のラインである。
そして、やがて学級が軌道に乗ってくるにつれて、担任に頼ろうという風土はフェードアウトさせていくのである。
2の「ルール」の成立が実は肝である。
2をしっかり成立させずに3の「楽しさ」を優先しようとすると、失敗しやすい。
結果的に1や2が脅かされることになり、本質的に楽しくなくなる。
ルールの成立とは、どういうことか。
ごく簡単にいうと、「何が〇」「何が×」という「当たり前」のものさしを与えるということである。
それを、最初の段階できちんとしつける(=躾ける=身を美しくする)ことが肝、と教えた。
この「当たり前」の基準は、最初は多め、厳しめの方がいいのである。
後で減らし、緩くするのは簡単だからである。
一方で、逆は大変難しい。
大人の社会で考えればわかる。
例を挙げる。
今、消費税は8%である。
これを3%にするといったら、きっと国民は大喜びである。(単純思考でよく考えなければ、の話ではある。)
国民の賛成はすんなり通る。(実際は政府の財政がとんでもないことになるので、実行不可能だが。)
しかし、実際は私の生まれた頃は、消費税は存在しなかった。
消費税0%である。
自動販売機のジュースはどこも100円のワンコインきっかりだった時代である。
それが3%になるといった時、社会では大変な抵抗があった。
恐らく、生まれた時から消費税が8%だったという人にとっては、5%ですら低いと感じるだろう。
10%にすることが既に決まっているが、2%増しなので、まあ我慢もしやすいと思える。
一方で、昭和の人々からすれば、いきなり10%は抵抗感がものすごいはずだが、もはやそれほどでもない。
これは、長い時間が解決してくれているからである。
3%、5%、8%と時間をかけて段々上がっていくにつれ、増税に「慣れた」ので、感じなくなったのである。
「茹でガエル」の手法である。(いつの間にか思考も死んでる?)
きついルールを後で設定するのは、長い時間がかかるのである。
つまり、最初の「当たり前」の基準を、いかに高めに設定できるかが鍵である。
必要なくなったら、後でいくらでも緩めればよい。
「ルールはなくすためにある」という言葉も教える。
ルールをなくす方向に努力するのは、楽しい作業となる。
ちなみに、消費税のあたりのくだりは、時間がなかったので話していない。
学級経営のコツを一言でいうと
「ルールをきちんとつくる」「守らせる」
という
「当たり前を躾ける」
という状態をつくることである。
では、具体的にどうやればいいのか。
こちらから問いかけたら、すんなり答えられた。
これまでの教えをよくきき、やり方をよく見てきているのである。
長くなったので、そこは次号。
2018年11月1日木曜日
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