2018年7月22日日曜日

学級経営とトイプードル

学級経営の話。

先月、地元の市の研修会で学級経営についての講師をさせていただいた。
話の中で学級担任のもつ「こわさ」の効用についても話した。
参考:「教師の寺子屋」過去記事 教育における「おそれ」の必要性

http://hide-m-hyde.blogspot.com/2018/04/blog-post_26.html

その中で、質問を受けた。
「怒ってもこわさが出せないのですが、どうしたらいいでしょうか。」
初任の若い女の先生である。

ここへの答えは決まっていて
「あなたは無理に怒らない方がよい」
である。

言ってることが全然違うと思うかもしれないが、個々のキャラクターの問題である。

犬に例えて考えてみるとわかりやすい。
めちゃくちゃ怒って吠えまくっているトイプードル。
静かに鎮座しているドーベルマン。

目の前にした時、どっちが怖いか。

明らかにドーベルマンの方である。
もう、もっている特性が全然違う。

どんなに怒って暴れ回って吠えても、トイプードルである。
キャンキャン吠えてるから「はいはい、落ち着いてね。」という感じである。
自分より身体の大きな高学年男子に、迫力をもって立ち向かえるかどうかである。
(ただし付け加えると、身体や年齢・性別等の性質に関わらず、すごく迫力のある人もいるにはいる。)

一方のドーベルマン。
ちょっと低く唸られただけでも「身の危険」を感じる。
見た目も声も力の強さも、何もかも違いすぎるのである。

いくら何でも自分が可愛さ押しのトイプードルや、警察犬にすらなるドーベルマンに例えられたら心外かもしれない。
それはわかりやすく極端な例にしただけである。
トイプードルレベルからドーベルマンレベルまで個々の雰囲気に幅があるということである。
トイプードルほどでなくても、自分はそれほど怖い類ではない可能性がある。
ドーベルマンほどでなくても、自分は生来怖い雰囲気をまとっている可能性がある。

一方、元々が怖い雰囲気の人だと、これも苦労が多い。
腹が立つ頻度はみんなと同じなのに、怒った時の迫力がありすぎる。
普段にこにこ優しくしてても、少し怒ったら怖いと言われてしまう。
小さな子ども相手の場合は、むしろこっちの方が何かと大変かもしれない。
(だから、保育園や幼稚園の先生に男性が少ないというのもあるかもしれない。)

要は、自分がどちらかというとトイプードルやポメラニアン寄りかもと思ったら、そこを利用すればよい。
柔らかい雰囲気というのは、人を惹きつける大きな要素の一つである。
「好き」から「憧れる」レベルまでいけば、進んでいうことをききたくなる。
好意をもった相手に「やめて欲しい」と言われれば、素直にやめたくなる。

ちょっと注意するだけで、叱る必要がなくなる訳である。
このタイプの学級経営をする人を実際何度か見たことがあるが、ある意味「最強」である。
また子どもと互いに「困った」を伝えやすいのも、こちらの雰囲気をもった人である。

一方の元々迫力がある人は、統率のとれた学級経営がしやすい。
学年団に一人いると、生徒指導における貴重な力になる。
柔らかい雰囲気だけではカバーできない部分を埋めてくれる。
こちらもやはり大切な人材である。
家庭教育における父、母、祖父母との役割分担のようなものである。

自分はどこを目指すかが大切である。
せっかく柔らかい雰囲気があるのに、ドーベルマンのやり方を目指してもそこには辿り着けない。
怖さが長所の一つなのに、トイプードルのやり方を目指してもうまくいかない。

個性とは、そういうものである。
子どもが異なる個性集団であるのが望ましいように、教員集団も個性派ぞろいが望ましい。
初任者からベテランまで、幅広くいるのがいい。
柔らかい人から厳しい人まで、幅広くいるのがいい。
真面目な人からふざけるのが好きな人まで、幅広くいるのがいい。

自分のもっている役割・特性は何なのか。
自分の天性としてもっているものが生きる方向を自覚し、活用することが何より大切である。

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