ある日の夕方、帰りの電車での出来事。
その日も、下り電車の車内は帰宅する人たちでごった返していた。
私も満員の車内でやっと立っていた。
そして、ドア付近に杖をついた老婦人が一人立っていた。
私は「立ってるのが大変そうだけど、今の自分にはどうにもできないな」と思った。
ふと見ると、何やら妙にキョロキョロ周りを見回している高校生とおぼしき男子がいた。
どうやら、その方に座って欲しいと思ったようである。
車内は満員。
空席はなし。
それでも彼はその女性に近寄り「座りませんか?」と声をかけていた。
必要なら、誰かに頼んで席を譲ってもらうつもりだったのかもしれない。
女性は「大丈夫。ありがとう」と断った。
次の駅で、彼は席が空いたのを見計らい、周りの方にお願いして声をかけて、席を確保した。
「どうぞ」とその方を案内した。
しかし、女性は御礼を言いながら固辞した。
(見ていた私としては、ここはどうか座って欲しかったところである。)
女性は笑顔で「やさしいねぇ」とつぶやいていた。
彼は二度も断られて少々残念そうである。
しかし、大変素晴らしい行為である。
普通は、勇気がなくてなかなかできない。
まして、周りの人に頼んでまでやるなど、そうそうできない。
私を含めた多くの周りの大人が何もしない中、高校生がこのような行為をするのを清々しく見ていた。
(彼は私と同じ駅で降りた。
私も知っている地元の私立高校の生徒だった。)
最近の若者は、とかいい出したら、もう精神的に老いている。
「大人」より、よほど気概のある若者がいる。
そのことを、嬉しく思う。
2020年の東京オリンピック。
世界に向けておもてなしの国、日本としての姿勢を問われる。
その中心となるのは、この若い人たちである。
この高校生のように、正しいことを自然とできる素直さを見習いたい。
2018年7月26日木曜日
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