新刊が出た。
https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-332812-0
https://www.amazon.co.jp/dp/4183328128
テーマは指導の本質を「見抜く」。
技術として、スルーorリアクションを挙げている。
本質を見抜くとはどういうことか。
端的にいって「長期的視点で見る」ということである。
短期的視点でいい結果が出るというのは、現象面に過ぎない。
卑近な話だと、例えば算数のテストで「高得点を取る」という現象を求めたとする。
そのテストと類似の問題を対策としてやりまくるトレーニングが一番いい。
単純に高得点を取るという現象に「なぜそうなるのか」という本質的な学びはいらない。
台形の面積の公式に当てはめれば正解は出る。
この種のトレーニングを繰り返していれば、テストに強い人間は出来上がる。
しかしそれと引き換えに、学ぶことを楽しむとか、物事を本質的に考えるといった能力はなくなっていく。
「勉強は嫌い」「将来のために仕方ないからやる」となる。
目指す生涯学習の真逆である。
全てを一生を通した長期的視点でというのは難しいかもしれない。
しかし、学級担任をするなら、子どもにとって本質的にどちらがいいか、は常に念頭に置くべきことである。
短期でどうこうしようとしないで、本質的に考える必要がある。
例えば「忘れ物が多い時」という項目がある。
提出物、あるいはハンカチなどの持ち物を、何度言っても忘れ続ける子ども。
どうするか。
単に厳しくして直るならもうとっくに直っている。
スルーしていても困り続けることも分かり切っている。
長期的に見て、一生の中で忘れ物をして困るという状況を克服できるようにするのが、ここの指導の本質である。
ここは忘れ物をしてしまう「認識」と「仕組み」を見抜く必要がある。
やや長いが、拙著より1ページ分、メルマガ用に適宜改行して引用する。
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(引用開始)
ここでの見抜くポイントは、忘れ物をしてしまうそもそもの原因部分です。
それが「認識」と「環境」です。
「認識」は子どもによって全く異なります。
ここを見抜いて適切な対策を講じれば、解決することがあります。
「書いているだけ」「言っているだけ」で伝わった気になっていると、ここが解決しないので、
そもそも忘れなくするような環境づくり、仕組みづくりをすることが大切です。
例えば、リマインドの仕組み。
多くの場合使われている連絡帳は、これにあたります。
しかし忘れ物の多い子供は、この連絡帳を見返す習慣がないのです。
ふざけているのではなく、習慣化していないので、そもそも連絡帳を見なくてはいけないということ自体を忘れてしまいます。
これを防ぐために、例えば
ランドセルのカバーの裏側に「連絡帳を見る」と書いた紙を貼っておく、
あるいは、個人的にはあまり好きではありませんが、マジックで手に書いておく、
保護者に協力してもらう、というような手もあります。
どのような場合にせよ、複数の中から本人が方法を選択できることが大切です。
次に、そもそも忘れないで済むような仕組みを作っておくことも大切です。
例えばハンカチ。
どうしても忘れてしまいがちな子供であれば、
洗濯したものをまとめていくつかロッカーに置いておいても良い、というように柔軟に対応することです。
頻繁に物の移動があることが忘れ物を増やします。
極論を言えば、宿題がなければ、 宿題忘れは存在しません。
根本的に考え直すことも含めて、対応を考えましょう。
まとめ
注意より、そもそも忘れない仕組みづくりをすることが大切。
(引用終了)
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この1ページ分に、様々な対応方法を記している。
「本人が複数の手段から選択できる」というのは重要なポイントになる。
ここの本質的なねらいは「主体的に問題解決の方法を選択できる子どもになる」という点である。
忘れ物そのものがなくなることではなく、ここから主体的かつ柔軟な問題解決思考をこそ学ばせたいのである。
こういった場面は学校生活の中で無数にある。
指導の本質について考えるきっかけにしていただければ幸いである。
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