2020年8月11日火曜日

教育のリスクをとる

メルマガをよく読んでくださり、感想を送ってくれる読者の方々がいる。
有難いことである。
以下、私の問題意識に強くひっかかったものを、ご本人の承諾のもと、引用して掲載する。
以前の記事「要望をやたらに飲まない」を読まれてのものである。

=================
(引用開始)
「当事者意識」と「責任」で考えさせられたことが、仕事上でありました。
(「責任」はおおむね「法的責任」です)
弊社で提供するサービスでお客様のお客様に迷惑がかかる事態が起きまして、
お客様はフォローで大変な作業(と多分、金銭的な損失)を強いられました。
ここで、弊社の担当者は、
自分には(あるいは自社には)責任はない、ということに固執するんですね。
だから、再発防止策も自分にできることはない、という発想になるみたいです。

でも、できることはあるんです。
おかしいと思ったことを、相手を怒らせてでもしつこく確認する、とか。
子どもが瀕死の重傷だったら、
診療時間外の病院でも、たたき起こすくらいするだろうと思うんですが。


だから、子どもが当事者意識をもつよう、教育が機能してほしいのですが、、、
息子の学校が、コロナに関してちょっと残念な対応をしています。
ま、とにかく安全運転なんですね。
私学なので、保護者の理解力や協力度合いは高いはずですけど。

そういう学校、というか、大人の姿勢から、子供たちが学ぶはずです。
「責任が自分に来ないように行動するんだな」とか、
「先頭を行くのはやめておくのが無難なんだな」とか。


学校が温暖化(軟弱化?)していくのとは対照的に、社会が冷酷化しています。
私が社会人になった平成初期のころは、
いまより学校と社会がスムーズにつながっていたと思います。
私はむしろ、大学に入った時に、ものすごい断絶を感じました。
(入学時にガイダンスの冊子を渡されて、あとは放置)

一方で、会社はまだ、新人は何もできなくて当たり前、の時代だったので、
割と、手取り足取りな感じで教えてはくれました。
(教え方がうまいとは言えないですが)

いまは、大学までもが手取り足取りになって、
低い能力のまま巣立たせている一方で、
(今の大学生は昔の高校生と思っていい、と恩師が言ってました)
会社は即戦力を求めてきたりする。
この断絶は辛いです。
学校には、この断絶を克服できるよう、子供たちを鍛えてほしいです。
(もちろん、家庭でもやります)
(引用終了)
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ご自身で会社を経営されている方である。
人材育成や採用には、人一倍関心の高い方の意見である。

要点は「当事者意識」への教育である。
他人任せ、責任転嫁の教育では、いけないということである。
それを、教育する側の姿勢から見せる必要がある。

特に、この部分については、強く共感した。
>そういう学校、というか、大人の姿勢から、子供たちが学ぶはずです。
>「責任が自分に来ないように行動するんだな」とか、
>「先頭を行くのはやめておくのが無難なんだな」とか。

我々がこういう姿勢を見せている以上、未来の社会は良くならない。
社会が、どんどん他責的になっていく。
当事者意識がなくなっていく。

「安全運転」は大切なのだが、それも適当な具合がある。
「安全第一」を究極に優先してくと、何もしないのが一番安全ということになる。

前号のアタッチメントの話にもつながるが、「避難場所」と「安全基地」が確保されていれば、人間は挑戦できる。
不安で挑戦できないのは、安全・安心が確保されないからである。

我々大人は、何を不安に思っているのか。
学校において、教師が挑戦できないのはなぜなのか。
誰の目を気にして、何を恐れているのか。

>学校が温暖化(軟弱化?)していくのとは対照的に、社会が冷酷化しています。

この一文とも関連している。
恐れが軟弱化を生んでいる面が多々ある。
我が身がかわいいと、毅然とした対応はできない。

責任を取る覚悟。
これは、立場が上にある人にほど、求められる。
そして、先頭を切る勇気。
この辺りの姿勢を子どもに見せない限り、学校教育は変わらない。

学校の教師に安全・安心を与えられるのは誰なのか。
文部科学省か。
教育委員会か。
管理職か。
学年の同僚か。

どこからなら、自分が手をつけられるか、考えるところからである。
文科省は言うに及ばず、教育委員会にどうこうしようなどとできる人は、ごく少数である。
できるとしたら、身近な同僚・仲間への接し方である。
少しでも何か仲間の力になれる立場にあるなら、「一緒に責任を取る」という姿勢を見せられるようにしたい。

子どもの教育にとって本当に何がリスクなのか、これからは今まで以上に真剣に考えていきたい。

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