今回は子育てや教育の重要なヒントになる話。
次の本からの学び。
『影響力の武器[第三版]』
ロバート・B・チャルディーニ 著
社会行動研究会 訳 誠信書房
http://www.seishinshobo.co.jp/book/b177759.html
世界的ロングセラーの古典的名著と言われる本なので、読んだことのある人もいるかもしれない。
この本の中の「第3章 コミットメントと一貫性」P.150~P.151から引用する。
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(引用開始)
人は自分が外部からの強い圧力なしに、
ある行為をする選択を行ったと考えるときに、
その行為の責任が自分にあると認めるようになります。
(中略)
つまり、子どもに何かを本心からやらせようと思うなら、
決して魅力的なごほうびで釣ったり、
強く脅してはいけないということが言えるでしょう。
(引用終了)
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この本の中で、面白い社会実験の結果が書かれている。
小学生の子どもに、ある魅力的なおもちゃで遊んではいけないと伝える。
Aのグループは、遊んだら怒るということを告げて脅す。
Bのグループは、それ以上は何も告げない。
そして、子どもだけを残してその場を去る。
結果がどうなるか。
何と両グループとも、実験直後はほとんどの子どもが言いつけを守って遊ばなかった。
結果が明確に分かれたのは、6週間後。
同じ子どもに、特に何も言わずに、別の状況でフリーの状態で遊ばせる。
Aのグループは77%がそのおもちゃで遊んだ。
一方のBのグループは、33%しかそのおもちゃで遊ばなかったという。
つまり、Aは外部からの禁止によって行動を制御したため、外圧がなくなった時点で効果が消えた。
Bは、内発的に「このおもちゃで遊ぶことは悪いことだ」と心に決めたため、効果が持続したということである。
この理論が正しいとしたら、かなり応用が利く。
そして、幼少期の「ならぬものはならぬのです」という教えが、いかに効果があるかということもわかる。
理屈や条件、罰を抜きにして「これはいけないこと」と教えられて守った場合、永続的に効果が出るということである。
考え、議論する道徳のねらいはわかる。
一方で、理屈抜きに教えることの意味。
これは考えるべき点がある。
また、単なる罰や脅しの効果が一時的でしかないというのも、特筆すべきことである。
そのような方法では、子どもの行動は変わらないということである。
今、教えたいことは、何なのか。
それを守る価値を子どもは感じられそうか。
進んで守ろうと思えるか。
その辺りにポイントがありそうである。
2018年12月15日土曜日
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