2018年2月18日日曜日

「学級崩壊」=「学級がうまく機能しない状況」

県内の校内研で講師として話したことの一部をシェアする。
特に若手の先生に向けての話である。

本来、教師は「授業で勝負」なのである。
これは間違いない。
なぜなら、学校は本来「学力をつける場」だからである。

しかし、である。
小学校において学級自体が成り立たない、という状況が各地で起きている。
「学級崩壊」とまでいうと語感が強烈であるが、それに近い状況である。
そもそも「学級崩壊」とは何なのか。

参考までに、大分古いが平成12年3月に文部科学省から出された
いわゆる「学級崩壊」について ~『学級経営の充実に関する調査研究』(最終報告)の概要~ 
という文章から、定義と思える部分を引用して紹介する。(但し改行は松尾による。)
==============
(引用開始)
この研究では,
「子どもたちが教室内で勝手な行動をして教師の指導に従わず,
授業が成立しないなど,
集団教育という学校の機能が成立しない学級の状態が一定期間継続し,
学級担任による通常の方法では問題解決ができない状態に立ち至っている場合」を
「学級がうまく機能しない状況」としてとらえ,
全国各地で小学校における学級経営に関して関係者から聞き取り調査を行ってきました。
(引用終了) 
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要は、授業が勝負なのだが、それが成立以前で躓いている状況である。
講演で、どんなにいい話を用意しても、そもそもやる気がなくて聞いてもらえないというのと同じである。

実はこの場合も、本当にいい話をすれば聞いてもらえるのだが、それは名人芸である。
当たり前だが、多くは「授業の名人」の域に達していない。
(名人がそんなに多かったら、そもそも名人とは呼ばれないが。)
よって、授業以前の「学級づくり」の時点でまず工夫をする必要がある。

ここは、最初の3日間が勝負のカギを握る。
後でも取り返すことはできるのだが、最初の3日間の労力に比べて、やることが各段に多くなる。
これは著名な実践家である向山洋一氏によって「黄金の3日間」等と名付けられて広まっている。
春休み明け、夏休み明け、冬休み明け、それぞれの3日間である。

春休み明けの黄金の3日間についての学級開きについては、以前にこのメルマガにも、本や雑誌にも何度も書いたので割愛する。
(参考『一人残らず笑顔にする学級開き 小学校~中学校の完全シナリオ』
赤坂真二編著 明治図書 2015
https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-185215-3

今、当面必要なのは、冬休み明けの3日間のことである。
もっというと、冬休み明け初日に何をするかである。

ここまで「崩れた」感がある場合、初日の所信表明は絶対に必要である。
「ここから立て直す」という強い決意をリーダーである教師が示すこと。
自己弁護ではない反省と、やる気を見せること。
今後の具体的な計画を示すこと。
そして、自身の授業の「改革」に真剣に取り組むこと。
ここを誤魔化して「レク」など単に楽しいことに走ろうとすると、この先もっとひどいことになる。
ここの点が間違えていることがとても多い。

「崩れているから、レクや遊びから」という発想自体がまずい。
崩れたままレクや遊びをやったら、ひどさが助長されるレクや遊びになるのである。
スポーツで暴力行為やルール違反が公認されたまま「試合を楽しもう」と呼びかけるようなものである。

崩れているからこそ、正統派の、王道の、本来のことが大切なのである。
「安全・安心」や「ルール」を無視して、楽しさを築くことはできない。
「授業」を無視して、学級の正常化は図れない。
非常に苦しいかもしれないが、ここは避けて通れないというのが真実である。

逆に、崩れてはいないという場合、少しの「お楽しみ」があってもいい。
マジックをやったり、交流のある遊びをやったりする。
「お正月ビンゴ」のようなものもいい。
ただこれらも、「やってもいい」程度である。
むしろ、この状態こそ授業に力を入れる時である。

知的好奇心を刺激するような算数の問題を用意するのもいい。
冬休み明けなら、カルタを取り入れた学習もいい。
俳句や短歌のようなものもいい。
できれば、自分の得意な教科で勝負をかけるといい。
初日からダッシュをかけたいなら、いきなりテストから入る手もある。
(この場合、休みに入る前に告げておく必要がある。)

とにかく、本来は授業で勝負である。
そして学級づくりの基本は、安全・安心とルールづくりから。
長くなったのでここまで。

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