2017年5月25日木曜日

改めて「縦糸横糸理論」を見直す

ここ数年で読者の数も増えたので、この時期に必要な考え方の修正再録記事。

野中信行先生という、崩壊した学校を建て直すプロ教師の話である。
学級経営がうまくいかず崩壊するという現象が、ベテラン教師に多く起きているという。
ここ十数年の話である。
この学級崩壊の原因が、「縦糸と横糸」のバランスにあるという。

縦糸とは縦の関係である。
「返事」「挨拶」「言葉遣い」「ルール」等の規律面を指す。(上下関係)

横糸とは横の関係である。
「一緒に遊ぶ」「誉める」「励ます」「笑い合う」「子ども同士で学び合う」等の、
伸びやかな雰囲気を作る要素を指す。(横ならびの関係)

新任教師が失敗するのは、どちらが不足しているからか。
ちょっと考えてみて欲しい。
すぐわかると思うが、「縦糸不足」である。
寄ってきてくれる子ども達がかわいくて、仲良くなり「いい先生」を目指しすぎ、規律がなくなる。
このパターンは、数十年前から続く学級崩壊ゴールデンパターンである。

子どもと仲良くなること自体は良いことだが、教師にとって仕事の目的ではない。
理想的な教育に至るための、一つの手段である。
野口芳宏先生の提唱する教育の成立条件「信・敬・慕」の中の一つでしかない。
信頼と尊敬という、縦糸の要素が強いものも同時に備えていく必要がある。

逆にベテラン教師は、縦糸を強く張りすぎようとするせいによる学級崩壊を起こしているという。
TOSS代表向山洋一氏はこれを「新型学級崩壊」と名付けたと、産経新聞上で発表していた。
「新型」とはいうが、もう十数年以上前から起きている現象である。
規律ばかりを強め、関係をもてずに、子どもが反発していく。
何をいっても反抗的になる。
こういうパターンに陥る。

大変わかりやすい理論である。
自分の新しく持つ学級をどうしていきたいのか。
縦糸と横糸のバランスで考えてみるといいかもしれない。
拙著『ピンチがチャンスになる切り返しの技術』にも、この辺りの理論は応用されている。
ぜひ参考にしていただきたい。

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