かかえ込み跳びの話の続き。
私がこの技を扱う時は、跳び箱は敢えて全て縦置きで行う。
理由は、跳び箱を横置きにすれば一気に難易度が下がるが、それでは「中抜き」という別系統の運動になるからである。
中抜きとは、腕を中心に振り子の原理で越える方法であり、平行棒の運動に近い。
跳び箱の上面が凹型になっている専用の跳び箱があるが、これを使った練習も「中抜き」になる可能性が高い。
一見似ているが別系統の技というのは要注意である。
似ている別系統の練習をすればするほど、本来求める動きと離れていく。
例えば、跳び箱運動の首はね跳びと頭はね跳びは一見そっくりだが、別系統である。
首はね跳びは、しなる動きであり、背骨をバネのように利用して跳ねる。
つま先までの遠心力を利用する、台上前転の発展技である。
一方の頭はね跳びは、ささる動きであり、反発力を得るために背筋を伸ばして背骨を固める必要が出る。
こちらは、倒立や側転に近い。
前方支持回転跳び(いわゆるハンドスプリング跳び)に発展する。
つまり、この二つの技は、高めていくほど、他方の技の動きから離れる。
背骨の動きと働きが、真逆なのである。
かかえ込み跳びの話に戻る。
別に中抜きでもいいという考えもある。
だが、かかえ込み跳びの楽しさの本質は、空中での浮遊感であると捉えている。
一瞬だが、ふわっと全身が浮く。
ここに本能的な「遊び」の楽しさの本質がある。
(ここについてはロジェ・カイヨワの「プレイ論」を参照。)
何をするにも、教師の側がねらいをもって指導することが大切であると思う。
2016年7月29日金曜日
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