弘法筆を選ばず。
広辞苑によると
「本当の名人は道具のよしあしにかかわらず立派な仕事をする。」
という意味のこと。
そこで、以前同僚で書道の得意な先生がいたので聞いてみた。
「選びませんか」と。
すると「そんな訳ないでしょう」と返ってきた。
「道具は超重要」とのこと。
さらに「先の割れた筆でまともに書ける訳がないでしょう。」と。
まあ、当たり前である。
良い道具の方が良いに決まっている。
前号の、元々能力の高い人であっても、強い装備の方がより強いという話と同じである。
道具は大切である。
ところで、4年生の算数で使う道具といえば、分度器である。
いわずと知れた角度を測る道具である。
この分度器、ものによって使いやすさが大分違う。
当たり前だが、分度器は普通透明である。
そこに、線が何本入るか、数字がどうかかれているかが大切になる。
線が多いほど、読む時には細かい角度まで対応しやすいが、あまり細かいと見にくい面もある。
そしてこれも当たり前だが、キャラクターなど余計なものが入っていると邪魔である。
(一般に、分度器ではほとんど見当たらない。)
とにかく、中心をきちんと合わせやすくて、数値が読みやすいものに限る。
ここで、注意してみると、算数が苦手になる子どもほど、妙な道具を使っていることが多い。
例えば定規なら透明のものを使わずに、キャラクターの絵がばっちり入っていたりする。
筆箱の中身も、相当余計なもので埋まっている。
よく観察してみると、下敷きに描かれた大好きな漫画の絵をぼーっと眺めている子どももいる。
(ただここで注意すべきは、そういう道具を使っても何ら問題ない子どももいる点である。
そこで集中を欠いてしまう子どもが、そういう道具を使ってしまっている点をどうにかしたい。)
別の教科でいえば、例えば体育で注意するのは、縄跳び運動に使う「とびなわ」である。
例えば1年生などで前回しの初期の練習段階なら、太くて重いひもタイプのロープがいい。
柄は短くて力がダイレクトに伝わるものがよい。
一方で、二重跳びをするのであれば、細くて軽いビニールタイプのものの方が素早く回せる。
柄も長めの方が回しやすい。
自転車のギアと同じ原理である。
柄が長いと力がいる分、手元の小さな一回転を大きな回転に変換できる。
(その極端なものの例が、長さ数十mの大縄である。)
そして、縄の適正な長さも前回しか二重跳びか、はたまた交差跳び系かで変わってくる。
まだまだあるが、これらの例に挙げたように、レベルにもよるが、合った道具を使うことは上達に非常に大切である。
上達が遅い場合、道具の問題はないかという視点も持って指導に当たりたい。
2015年5月29日金曜日
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