最近、ブログでまた大縄の記事に関心が集まってきたので、大縄ネタ。
今年の夏、読者の方からいただいたメールを紹介する。
大縄だけでなく、学級経営に大切な要素が凝縮されたストーリーである。
ブログに載せるにはやや長文ではあるが、紹介する価値が高いと思うので引用する。
(以下、メールの引用)
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松尾先生
○○と申します。
以前、松尾先生に大縄跳びに関する資料を依頼いたしましたところ、
ありがたいアドバイスとともに、資料を送ってくださいました。
お忙しいところ、本当にありがとうございました。
私のクラスは今年度、6年生34名。
大縄跳びは見よう見まねでスタート。
はじめは、縄の長さも10mの縄でやらせていました。
34名が入りきらないので、出席番号でとびとびの17名ずつ2チームに分けました。
2チームで競いながら始めました。
松尾先生に資料をいただいてから、さっそく20mの長縄を2本購入しました。
もう2チームに分けていたので、チームはそのままで続けています。
結果を記す折れ線グラフを教室前方に貼り出しました。
跳び方、回し方の指導もしました。
回し方では、実際に松尾先生のクラスの子の回し方を見せました。
教職ネットマガジンの映像です。
とてもよくイメージがつかめました。
2チーム4名の回し方が格段によくなりました。
記録は,松尾先生のクラスのようにはなかなかいきません。
でも、着実にグラフは右肩上がりになりました。
視覚化するといいなあと実感です。
7月。女の子が1名、家庭の事情で急に転出することになりました。
彼女が来る最後の日。
お別れ会のプログラムの中に大縄を入れました。
それまでの最高は、たしか73回と59回だったと思います(ちょっと今、手元に記録がないので)。
彼女が入っている方は、59回のチームでした。
この日、ささやかですが、ドラマが作れました。
両チームとも、100回ジャスト連続で跳べました。
100回は初めてでした。
しかも、2チームとも100回。
はかったようにぴったりでした。
私も声を枯らして数えていたので、間違いありません。
始めに79回のチームが100回を達成。
大歓声が体育館に響きました。
もう一つのチームも、100回に近づくにつれて、一緒に応援していました。
これがよかったです。
そして、刺激をもらったようです。
次に跳び始めた彼女の入っているチームもどんどん連続で跳び、
100回ちょうどでとまりました。
これも全員が大歓声でした。
互いがいい意味で競い合うことができました。
ハイタッチやらハグする姿があちこちで見られました。
子供たちもとてもうれしかったことと思います。
1学期の思い出を振り返らせたとき、作文に最も多く書かれたのが、この大縄跳びでした。
大縄跳びは、実は毎日続けられていなくて、週に2回か3回のペースです。
でも、2学期以降も、できるときを見つけて続けていきます。
「500回いけるかも」と言っている子供もいますが、
私としては、たとえ100回でも、クラスが一つになるという目的に近づければ言うことないです。
次回はたぶん、ガクッと落ちることになると思います。
でも、それもグラフに記して、ありのままを記録しながら全力でやっていきたいです。
まだまだクラスは一つになっているとはいえません。
私自身がプラスの気持ちでこれからも頑張っていきます。
またこれからも先生のメルマガなどで学ばせていただきます。
私も年齢の関係で、あとクラスが何回持てるかわかりません。
クラスを担任できることに心から感謝して、悔いを残さず完全燃焼したいです。
そして子供の力を引き出したいです。
言葉にするのは簡単ですが、どこまで実践できるかなあと、弱気になることもしょっちゅうですが。
お忙しい先生に拙文を送りまして、申し訳ございません。
どうもありがとうございます。
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(以上、引用終了)
ところどころ、学級経営においても大切なポイントが散りばめられている。
最初のステップからの上達の方法も示されている。
「100回未到達」の時点からの実践報告が、多くの方に参考になると思う。
「目指せ1000回」とは違い、また参考になると思う。
ところで、なぜ突然「両チームジャスト100回」というドラマが生まれたのか。
これはひとえに「信念」の一言につきる。
こういうドラマは、「信念」を持って臨むと、たびたび起こる。
つまり、偶然ではなく必然である。
精神論のようだがそうではなく、信念があると行動がついてくる。
行動があると結果がついてくる。
天地自然の理である。
そして、引用文の中にもあるように、回数は問題ではない。
100回だろうが1000回だろうが、そこは関係ない。(そもそも、他との比較に意味がない。)
目的は「クラスが一つになる」。
そして、「子どもの力を引き出したい」。
これである。
これを外すと、無意味どころかマイナスにすらなり得る。
完璧にここをおさえている点に感動した。
また、この先生は、私よりはるかにベテランの先生である。
すごい先生は、みな謙虚である。
本当に頭が下がる。
私自身、こういう方にずっと教わりたいと思う。
そして、年齢に関係なく、ひたすら学び続けたいと思う。
技術論なら、聞いていただければいくらでも伝えられる。
しかし熱意だけは、本人の内から湧き出るものしかない。
「やる気スイッチ」が教師自身に入っていることが、最大の成功要因である。
2014年10月20日月曜日
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