2020年11月5日木曜日

教員採用試験の倍率を考える

 少人数学級の実現に向けての考察。


少人数学級の実現に向けて、大量に新規採用する必要が出る。


ここで考えるべきことが出る。

採用試験というのは一般的に、採る側からすれば、倍率が高いほどいい。

適性の高いと思われる人物を厳選できるからである。


採用枠が広がるということは、この質の部分が甘くなるということでもある。

一般的に、選抜試験では倍率5倍以上が適正と言われている。

5倍が4倍になるぐらいならまだ質は担保できるが、「危険水域」といわれるのは3倍である。

(地域によっては、教頭試験の倍率が1倍を切ったという。そうなると数の確保最優先で、質の担保は不可能である。)


実際、現状の小学校の教員採用試験の倍率はどうなっているのか。

これについては、文科省が公表している。

【参考PDF】令和元年度公立学校教員採用選考試験の実施状況


小学校の倍率は、「2.8倍」である。

既に「危険水域」と言われる3倍を切っている。


これも自治体ごとに見てみると全く実態が異なる。

5倍を超えているところも少しある一方で、2倍を切っているところもかなり多い。

それらを平均しての「2.8倍」である。


何ゆえの不人気なのか。

世間に流れるニュースや噂をきいていれば、当然かもしれない。

教員の仕事については、ろくなニュースが流れない。

あれだけマイナスの情報ばかりが流れていて、大変そうだ、なりたくないと思わない方がある意味おかしい。

(今日〇〇先生は子どもたちと平和に楽しく過ごしました、なんてニュースが流れることはないので当然である。

しかし、現実は大変なことももちろんあるが、こちらの方が圧倒的に多い。)


自分の通ってきた学校の先生たちを見てきての不人気なのかもしれない。

子どもから見ても、大変そうに見えているのである。

「先生、いつも暇そうだね」と子どもに声をかけられるようになる必要がある。

実際に暇になることはないのだが、そう見せるためにも職場の働き方改革が必要になる。


さて、それでもなろうと思うような人は、どうやっても来てくれる超優秀で貴重な人材である。

つまり、今の新卒採用のような人は、学校全体でかなり大事に育てないといけない。

とにかく、やる気のある人は、希少価値なのである。


だから授業が下手でも一生懸命やっているような人を、挫けさせるような扱いでは、学校教育の未来が危うい。

(適当なやる気のない人を甘やかせというのではない。一生懸命さが前提である。)


新卒に高い技術を求める方が間違っているのである。

ある程度年齢を重ねた人には真似できないような、溢れる情熱があるだけで最初は100点満点である。

それらの人材を、時間をかけて鍛え、励ましながら育成していくのが、現状の学校の役目である。

つまり人間関係の良さが、仕事のやる気や技術の向上に直結する。


まとめると、教員の仕事を魅力的にして、それを周囲に見せていくことが、学校教育の未来を明るくすることにつながる。


小学校教員という仕事の、最大の魅力は何か。

思うに、それは、子どもと関わる面白さである。


子どもは、とんでもない発想をする。

意味のわからない行動、理屈に合わない行動をいっぱいとる。

自分ではとても思いつかないような、素晴らしいアイデアを出してくることがたくさんある。

さらに、工夫しないと乗り越えられない難題をどんどん出してくる。

身体と脳みそが退屈する暇がない。

ここが最大の大変さでもあり、楽しさでもある。


また、子どもの姿に教わることがとても多い。

立派な子どもたちの姿を見て、反省することしきりである。

自分の経験では、争いを全く好まない子どもを見て、勝負ごとが大好きだったかつての自分の人生観が変わったということもある。

多様な人間と多く関われることから、人生観が変わる仕事でもある。


小学校教員は、大変だけど、楽しい。

少人数学級の効果的な実現のためにも、全体でもっとアピールしていきたい点である。

0 件のコメント:

コメントを投稿

  • SEOブログパーツ
人気ブログランキングへ
ブログランキング

にほんブログ村ランキング