前号の「セルフエスティーム」に関連して。
私見として、気付き。
「自分自身の価値を信じる」というと、日本では品がないように思われることがある。
しかし、それは違う。
自分自身に価値を見出せないと、他人の価値も認められなくなるからである。
自分に不足感があると、他者に色々と求めるようになる。
「もっと〇〇をちょうだい」
「あの人の方が私よりももっている。悔しい。勝ちたい。」
「なんでもっと私を大切にしてくれないの」
・・・まあ、重い。
面倒な人である。
しかし、セルフエスティームが低い人は、この傾向になる。
自分の足りない分を他の「富める者」からの「施し」で補おうとするからである。
逆に、セルフエスティームが高い人は、満足している状態になる。
つまり、自分自身に、余裕ができる。
そうすると、余裕の分が溢れ出てしまうので、他者に与えることになる。
溢れた分が勿体ないので、捨てずに人に分け与えることで、満足できる。
仕事というのは、これである。
自分の専門技能なり努力なりで生んだ余剰価値を、他者に提供する。
相手に喜んでもらい、満足する。
単純化すると、そういう仕組みである。
つまり、自分には価値あるものを提供できない、という考えだと、喜びがなくなる。
価値あるものを提供できるという自信が、喜びにつながる。
ちなみに、海外の人には理解し難い日本語の「つまらないものですが・・・」は、本当につまらないものとは思っていない。
自分としては精一杯の価値のあるものだが、あなたの素晴らしい価値に対しては申し訳ないかもしれない、という意味である。
モノ自体が決してつまらないのではなく、相手を敬っているからこその言葉である。
モノと相手の相対的価値から、モノが「つまらないもの」になってしまうだけである。
話がやや逸れたが、ではセルフエスティームをどう高めるかである。
これは「与える側」に立つに限る。
先に述べたように、もてるものが与える側に立てる。
逆にいえば、与えてしまえば、もてるものという潜在意識を作れる。
そういった意味でも、例えば募金は意味がある。
相手のためでもあるのだが、何より自分のためになる。
募金をすれば、セルフエスティームが否応なしに高まる。
それを狙ってするのも憚れるかもしれないが、少なくとも募金しないより、する方が相手にとっては助かる。
ボランティア活動といわれるもの全般も同様。
ごみ拾いでも何でも、すればセルフエスティームが高まってしまう。
やっていて、悪いことをしているとは、どうしても思えないからである。
道行く散歩中の人々に「ありがとう」と言われて、セルフエスティームが高まらないようにする方が難しい。
「ありがとう」は、相手の価値を認める最大の賛辞である。
それを、ただ偶然すれ違っただけの人に言われるのだから、これは「有難い」ことである。
ごみ拾い活動に関していえば、道がきれいになる。
それを見るだけで、爽やかな、嬉しい気持ちになる。
十年前に捨てられたようなごみを拾う時には「お前はずっと待ってて大変だったなぁ」と声をかける。
とりあえず、鍵山秀三郎氏の言うように「一つ拾えば、一つだけきれいになる」が実感できる。
やってみればわかる話である。
私は「偽善者宣言」をしたので、こういう場でも現実の場でも「やっています」と堂々と公言する。
これを知って、真似する人が出るかもしれないからである。
もし一人でも子どもが大人を誘って真似し始めたら、もう教育の目的としては、ばっちりである。
教師である自分と、子どものセルフエスティームを高める。
そのためには、教室で何か「与える」というような活動をしてみる。
または、そういう仕組みを作る。
これを常に意識して教育に当たるのが大切ではないかと思う次第である。
2019年12月21日土曜日
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