2021年8月24日火曜日

アサーティブと自治的学級づくり

 前号では、安全・安心ベースでこそ挑戦できるという話を書いた。

そこに関連した話。


「自分の言いたいことを言えない」


子どもだけでなく、大人でもよくある悩みである。

これも、怖くて挑戦できないということである。


何が怖いかというと、拒絶や攻撃である。

自分の意見を主張をした時、衝突が起きるのではないかという恐怖感である。


ここへのヒントとして、「アサーション」という考え方が参考になる。

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「アサーション」とはコミュニケーションスキルの1つで、

「人は誰でも自分の意思や要求を表明する権利がある」

との立場に基づく適切な自己表現のことです。


(「HRpro用語集」より引用)

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「アサーティブ」な態度というのは、他者を変えるのではなく、自分の捉えの方を変える。

アドラー心理学とも関連のある話である。


この考え方では、コミュニケーションを3つに大別して考える。


1 攻撃的(相手の都合に関わらず自分に従わせようとする)

2 非主張的(自分を殺してでも相手に合わせる)

3 アサーティブ(自分の思いを伝えつつ相手の言い分もきいて折り合いをつけようとする)


親、教師、上司など、立場が上の時に1の「攻撃的」になりやすい。

子ども、児童生徒、部下など立場が下の時に2の「非主張的」になりやすい。


そして、立場に関係なく人によって1や2を行使しがちな傾向がある。


1の「攻撃的」は

・自分だけは楽したい、得したい

・自分は相手より上の立場なのだからえらい

・相手が言うことをきかないのは間違っている

と考える傾向が強い人である。

いわゆるワンマン、自己中と呼ばれる傾向で、一つの集団内にその絶対数はあまり多くない。

(一つの集団内に、絶対数として上の立場の方が少ないことを考えれば自明である。)


2の「非主張的」は

・いつも自分は損をする

・自分なんて

・自分さえ我慢すれば

と考える傾向が強い人である。

どちらかというと、この2の傾向の人の方が多い。

特に自己主張が弱いとされる日本人には顕著である。


同一人物であっても、自分の置かれている立場によって1か2かは変わる。

教師であれば、自分が子どもの前に立っている時は1なのに、管理職含めた同僚の中では2になる、という感じである。

むしろ、1や2を強く使っているほど、立場の変化による乖離の振れ幅は大きくなる。


そして3の「アサーティブ」は、このどちらとも違う。

・自分の本当の気持ちを伝えよう

・相手の気持ちや都合も考えよう

・お互いの合意点に折り合いをつけよう

とする。

立場に関係なく、言うべきことは互いに言おうという姿勢である。

いわゆる「ブレない」という状態である。


集団がこのアサーティブな態度を身に付けられれば、その居心地の良さは大きく変わる。

きちんと伝えたいことを伝え合える集団になる。

そうなればけんかやいじめも減るし、自分たちのことを自分たちで決めて実行していける自治的な集団に近づいていく。


そのためには、まず自分からである。

上の立場にある人がアサーティブになることが第一優先である。

子どもに先にそうなれというのが難しいのは、容易に想像ができる。


次の本はとても読みやすく参考になる。

(今回、私は古本屋で偶然見つけたが、電子版もあり。)


『マンガでやさしくわかるアサーション』

平木 典子 著 サノ マリナ 作画 星井 博文 シナリオ制作

日本能率協会マネジメントセンター


自己主張が弱くてつい他人の言いなりになってしまうという人、

あるいは、人に強く言いすぎる自分が嫌になっているという人、

夏の読書に、どちらのタイプの方にもおすすめの1冊である。

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