やる気スイッチに関わる話。
次の本を読んだ。
『海馬 脳は疲れない』池谷 裕二 糸井 重里 著 朝日出版社 他
↓こちらの「ほぼ日刊イトイ新聞」のH.P.で、本に編集前の原文が結構詳しく読める。
https://www.1101.com/brain/2005-07-06.html
脳科学者の池谷氏が、脳科学の観点からやる気について詳しく述べている。
ごく簡単に言うと、脳には次の相反する性質がある。
1 脳は新しいものに反応してやる気を出す
2 脳は新しいものに反応して警告を出す
つまり、新しいものを取り入れて変化して生き残ろうという本能と、
危険を避けるために新しいものを拒絶しようとする本能が共存しているということである。
どちらも生き残るために必要な本能である。
糸井氏はこの危険回避の本能を脳の中の「ストッパー」や「ブレーキ」と表現している。
ストッパーを外すと、すごい力が発揮される。
しかし、これは例えば肉体が耐えきれないほどの力を出して自己破壊をしてしまう危険も出る。
蛇やキノコなどの毒のあるものにも、興味を持って平気で手を出してしまうこともある。
だから、ストッパーは安全面で絶対必要なのだが、挑戦したり力を発揮したりするには邪魔でもある。
ブレーキなしの車でアクセル全開では、速いが危険すぎる。
だから、両方の本能が備わっているらしい。
何ともよくできているものである。
さて、大自然の中で暮らすためには、ブレーキ側の本能がより大切である。
ジャングルも草原も海も、危険がいっぱいである。
同じ場所に留まって環境変化で絶滅するリスクもあるが、やたらに動いた方がより危険である。
だから、ある程度のテリトリーを持って、その場に留まる。
このように、生物は本来、挑戦本能よりも保守本能の方が強い。
命最優先が故である。
この本能の原則は、教室にも持ち込まれる。
変化や刺激がないこと以上に、危険なことはより避けたい訳である。
例えば何か発言したりやったりした時に、すぐ否定されたりバカにされたりしているようでは、当然ブレーキの方が強くなる。
もし失敗しても大丈夫な環境であれば、刺激を求めてアクセルの方が強くなる。
安全・安心が全てのベース。
挑戦のやる気スイッチも、アクティブに動けるかどうかも、安全・安心面が確保されていることが本能的な前提である。
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2015年11月9日月曜日
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