2021年3月17日水曜日

学級担任に解決できない状況をどうするか

学級担任が辛い状況になった時の具体的方策について。


学級が成立していないという状態になったとする。

私の中の定義としては、教師の話が大部分に通らなくなった状態である。


これは国立教育研究所で「学級がうまく機能しない状況」として20年以上前からきちんと定義されている。

以下、引用する。


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(引用開始)

「子供たちが教室内で勝手な行動をして教師の指導に従わず、

授業が成立しないなど、集団教育という学校の機能が成立しない学級の状況が一定期間継続し、

学級担任による通常の手法では問題解決ができない状態に立ち至っている場合」

(引用終了)

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引用:「国立教育研究所広報第124号」(平成12年1月発行)

学級経営をめぐる問題の現状とその対応

─関係者間の信頼と連携による魅力ある学校づくり─ 教育経営研究部 学校経営研究室長 小松 郁夫

https://www.nier.go.jp/kankou_kouhou/124komatsu.htm


ここから、どう立て直すかである。

結論から言えば、担任一人の努力では無理である。

どんなに頑張っても無理である。


先の定義内にもはっきりと

「学級担任による通常の手法では問題解決ができない状態」

と明記されている。


この前提の認識に全職員が立つことが、立て直しには必須である。

最低限すべきことは、学級を担任一人に任せないことである。

T.T.として入れる人員を常につける必要がある。


二人以上で見るメリットというのは、想像以上に大きい。

実質的な実務分担ができるのももちろんだが、精神的負担がかなり軽くなる。


担任のAさんは、当然だが既に自信を大きく喪失している。

そこでBさんが補助に入るが「これはきついね」と大変さを共有できる。

さらに交替でCさんが「自分なら」と入るが、やはり「きつい」と感じたことを共有する。

「みんなでがんばろう」ということになる。


こんなに単純にはいかないかもしれないが、そういう構造である。


学級が成立していないというレベルでもない学級担任にもこれはいえる。

ある特定の子ども、あるいはその保護者への対応に苦戦している。

しかし、この大変さは自分にしかわからない。

そうなると、自分の対応が全て悪いのではないかと思えてくる。


しかし、実際はそうではない。

代々の担任も苦労し続けているのだから、自分だけが能力不足というはずはない。

時々でも学級に入り、一緒に見てくれる人がいれば、苦労に共感してもらえる。


逆もありきで、クラスにとても優秀な能力をもった子どもがいたとする。

まるで自分の指導が素晴らしいかのように思える。

しかしそれは完全に錯覚で、何もしなくても、単に本人が極めて優秀なだけである。

そういう子どもを「自分の」と抱えこまないためにも、やはり共有が大切である。


この一番のポイントは、倒れそうだから始めるのではなく、予防的に、日常的に行うことである。

倒れそうになってからでは、担任本人も学級自体も立て直しは厳しい。


学校にそんな人的余裕がないことは、百も承知である。

だからこそ「交替」で学級に入る仕組みが必須なのである。


完全に学年担任制を導入している学校もある。

つまり、1学級に1人の担任が決まっていないという学校である。

これはこれで可能性が大きくあると思う一方で、仕組み自体の大幅変更であり、導入への壁も大きそうである。


ここは「朝の会の交替」程度の小さな導入から、日常的に始めてみてはどうかという提案である。

どんな方法にせよ「抱え込まない、所有しない」で「共有」がカギである。


現場レベルでも工夫できる、先生が幸せに働ける方策を真剣に探っていきたい。

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